重視するのは“対話”の姿勢
永井さんらが投降を促す際、そしてリハビリテーションをする際、重視するのは“対話”の姿勢だという。永井さんが大学1年生の時に起ち上げた「日本ソマリア青年機構」は、2017年に現在の「アクセプト・インターナショナル」に改名。名前には、「相手を受け入れる」という姿勢が表れている。
「名前を変える時、『自分たちを表す言葉って何だろう?』と考えました。その結果、“アクセプト=受け入れる”という結論になりました。たとえ相手が何人殺していても、まずは受け止める。彼らの過去も、主張も、存在も、受け止める。そこから始めるのです。というかそこからしか始まらない。
そうして、『どんなことがあったんだい?』と対話をしていく。『なんでテロ組織に入らなきゃいけなかったの?』『不満や怒りがあれば、それが社会を良くする鍵なんだ。一緒にやり方を考えよう』などなど話していくわけですね。こうした姿勢は中々ユニークですが、全て学生時代に共に生きたギャングの彼らから学んだことです。
「テロや紛争のない世界を目指す」と決めた
今後はこうした現場での仕事をさらに展開していくことに加え、テロ組織を含む反政府武装勢力にいる若者たちに伝えられる“言葉”を創るため、国際条約のような国際規範の制定を実現していきます。ちょうど大学1年生の時からやり始めて10年が経ったところなので、一先ずここから先、10年の大目標です。
今では、語学力・専門性・経験という、10年前に言われた3つを持っています。それに加えて変わらぬ気概もあるので、『やってやろう』とただただ燃えています。『紛争なんてなくならない』と諦めるのは簡単ですが、それに意味はありません。テロや紛争のない世界を目指すと決めたならば、本気でその実現を目指さなきゃ嘘ですよ」
時には批判を受けながらも、テロリストとの“対話”を続ける。テロと紛争の解決に真正面から突き進む。誰も成し遂げられなかった“紛争解決”という難題への挑戦は、これからも続いていく。
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