親の想いも背負い、果たした2度の完全制覇
――2015年、23歳のときには史上4人目の完全制覇を達成しましたね。ずっと祈るように応援されていたお母さまの姿が印象的でした。
森本 お母さんは昔から変わらないですね。僕が好きでやってることを静かにずっと見守っててくれて。逆にお父さんは昔からいろいろ言いたがりです。でも練習も手伝ってくれましたし、中学生や高校生で僕が1人でイベントに行くときにはついてきてくれた。そういう面で、すごくサポートしてもらいました。
――SASUKE完全制覇は、森本さんの夢でありつつ、ご両親の夢でもあったんでしょうね。
森本 そうなんだと思います。両親からも「すごい楽しませてもらえた」って言われたので、知らないうちに親の気持ちも背負っていたのかもしれません。
あとは、祖父もSASUKEを毎年楽しみに観てくれてました。生き甲斐だって言ってくれるくらいで。祖父にとっても、僕の完全制覇は夢見てたことだったそうなので、叶えられてよかったなと思います。
――15歳の頃から思い焦がれていた完全制覇の景色を見たとき、そこで燃え尽きることはなかったんですか?
森本 ずっと掲げてきた最大の目標ではあったんですけど、自然とそういう気持ちにはなりませんでしたね。逆に、SASUKEの歴史をずっと見てきたので、僕が完全制覇したことで、また難易度が上がるなって思ってました。そのときにはすでに、2回目の完全制覇に意識が向いてたんです。(編注:SASUKEは完全制覇者が出た年の翌年、各ステージのエリアが新しくなるというルールがある)
――完全に競技者としての目線ですね。では、その2回目の完全制覇を達成したときはどんな気分でしたか?
森本 本当は、もっと早く2回目の完全制覇ができると思ってたんですよ。でも、何回も獲り逃して、その間に強い人もどんどん現れてきて。これは下手したら、他の人に先に獲られちゃうんじゃないか、2回目を達成できないまま終わってしまうんじゃないかと不安だったんです。そうした不安と闘いながら、しかも大雨のバッドコンディションの中で掴みとった完全制覇だったので、本当にめちゃくちゃ嬉しかったですね。