指定難病の潰瘍性大腸炎の闘病エッセイをマンガ『腸よ鼻よ』で綴っている島袋全優さん。繰り返す入院を「取材のようだった(笑)」と語る島袋さんに、ポジティブな作風への思いについて語っていただきました。(全2回の2回目。前編を読む)

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入院はまるで「取材」のようでした(笑)

──なぜご自身の潰瘍性大腸炎の実体験をマンガにしようと思ったのですか?

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島袋全優さん(以下、島袋) こんなつらい思いをさせられたからには、おまえで金儲けさせてもらうぞ、という執念です(笑)。学生の時に発病して、「病気が治ったら描いてやろう」と思っていたのですが、治らないうちに『腸よ鼻よ』(ganma.jp/chohana)の話が来たので、「治らなくてもいいや」と思って描き始めました。

 あまりにも体調がきついときは、写真を撮る余裕もないので、ポコッと抜けていたりするんですけど、病気に関することはすべて「ネタ」としてノートに描いていましたし、点滴風景とか病院食の写真も「資料」と称してたくさん撮っていたので、入院はまるで「取材」のようでした(笑)。大腸を全摘したときは、ICUに家族が入って来た瞬間に「いまの私の姿を撮って」と頼み、父に写真を撮ってもらいました。

デーモン閣下ばりの白塗りメイクをほどこした島袋全優さん。今日のメイクは『デビルマン』リスペクトのオリジナルバージョン。

自分の大腸の写真を見てすごい感動

──摘出した大腸をほしいとおっしゃったのも、「資料」としてですか?

島袋 いや、記念にほしかっただけです。塩漬けにしたら保存できるかと思ったんですが、さすがにあげられないと言われたので、かわりに写真を撮ってもらいました。大腸本体がほしいと言われたのは初めてだと驚かれました(笑)。

──手術後、ご自身の大腸の写真を見て、「牧志(まきし)公設市場で見た豚のと似ている」とおっしゃっていましたが、どんなお気持ちでしたか?

島袋 すごい感動したので、誰かと感動を共有したかったんですけど、SNSに載せるわけにはいかないので、母に「見て見て、わたしの大腸」と写真を見せたら嫌がられました。

 自分から「見たい」と言ってきた姉にも見せたんですけど、妹のお腹から出てきた内臓だと気づいたら急に生々しく思えたようで、貧血を起こして顔が真っ白になっていました。身内とはいえ、自分の内臓を無理やり見せてはいけませんね……。

 実はコミックス6巻のカバー下表紙背景にも大腸の写真を載せているので、興味のある方は、ぜひコミックス買って見てください。……って、「モツハラ」になってしまうので強要はできませんけど(笑)。