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2017/12/25

参拝客輸送をめぐる戦いを拝みたい 成田駅・京成成田駅(千葉県/JR成田線・京成本線/成田山新勝寺)

 成田と言われて今や多くの人は成田空港を連想するだろう。JRの成田線も京成本線も、すっかり成田空港へのアクセス路線として定着してしまった。が、元はといえばこの2路線、ともに成田山新勝寺に向かう参拝路線として誕生したのだ。成田駅・京成成田駅からはうなぎの蒲焼が薫る新勝寺の参道も延びており、今も変わらず“初詣駅”の面影を残す。

 

 先に誕生したのはJR成田駅。1897年に私鉄・成田鉄道の駅として開業し、現在の総武線・常磐線双方からの参詣客を集めた。成田鉄道が国有化された後の1925年には京成成田駅も開業。すると、新勝寺参拝客輸送を巡って国鉄VS京成の激しい戦いが繰り広げられた。今も駅前広場を挟んで向かい合うように駅舎が建つが、それは往時の大バトルの名残というべきか。

 お正月の成田駅前、それぞれの駅からどっと新勝寺参拝客が降り立って、参道に向かっていく――。その様子は、すっかり成田空港アクセス路線として定着した両路線の“初詣”を巡る戦いの歴史を今に蘇らせるワンシーンである。

 

廃駅舎を拝むなら 住吉鳥居前停留場・住吉大社駅(大阪府/阪堺電車・南海電鉄本線/住吉大社)

 全国で7位、約230万人の初詣客を集める住吉大社。こちらの最寄り駅は大鳥居の目の前に停留場を持つ路面電車・阪堺電車とそこから徒歩1分程離れた南海本線の住吉大社駅だ。コトコト走る路面電車は住吉大社の風情とよく似合うし、輸送量では正月三が日限定で急行も停車する南海に軍配があがる(と言っても、阪堺電車は南海の子会社だからライバルという雰囲気はないけれど)。

阪堺電車

 こちらは川崎大師や成田と異なり参拝のために生まれた駅ではない。が、見逃せないのは住吉大社駅のお隣の古びた駅舎である。よく見ると右から左へ「驛園公吉住」と駅名が書かれているが、これは2016年1月末で廃止された阪堺電車の廃駅舎。お隣の住吉駅までわずか200mの短い路線で、廃止直前には朝8時半過ぎに最終電車が発車するという“日本一終電が早い駅”でもあった。廃線跡は駐車場になったが、たくさんの初詣客が行き交う横に今も駅舎はその姿を留めている。