いよいよ2018年のお正月である。お正月といえばそう、初詣。なんでも、全国で延べ9000万人ほどが初詣に繰り出すらしい。クリスマスやハロウィンなんて吹き飛ぶほどの国民的行事である。
で、その初詣が国民的行事になった理由のひとつが、鉄道だ。明治以降、鉄道網が整備されるに伴ってちょっと離れた遠方の神社仏閣にも足を運びやすくなって参拝客が殺到。それに目をつけて有名な寺社と都市部を結ぶ路線が次々に誕生し、営業策のひとつとして初詣をアピールしたのだ。結果、21世紀の今になってもお正月の鉄道は、初詣に向かう人達で満員なのである。つまり、鉄道は初詣と切っても切れない関係にあるということ。そんなわけで、正月を控えた今回は鉄道と初詣の繋がりを強く感じさせる初詣ステーションを紹介しよう。
赤い電車を拝みつつ 川崎大師駅(神奈川県/京急大師線/川崎大師)
京急川崎駅からちょろっと東に延びる盲腸線、京急大師線にある川崎大師駅。駅名通り、川崎大師 平間寺の参拝駅である。普段から使っていない人からすれば、大師線なんてしがない私鉄のローカル線というイメージが関の山だろう。が、この大師線は関東地方で初めて“電車”が走った路線であり、関東に轟く名私鉄・京浜急行発祥の路線でもあるのだ。
もともと川崎大師は、1872年に新橋~横浜間で日本初の鉄道が開業した際に生まれた川崎駅の効果で参拝客が急増した歴史を持つ。そこに目をつけて1899年に大師電気鉄道として川崎(後の六郷橋、廃止)~大師(現川崎大師)が開業。その後、紆余曲折を経て現在の京急大師線となった。つまり、川崎大師駅は“電車に乗って初詣”の習慣を生み出したまさに歴史的な初詣ステーションなのである。初詣客が全国でも明治神宮に次ぐ2位というのは、そんな伝統があるからとも言えるだろう。お大師様参拝の折には、歴史の営みを感じつつ赤い電車に揺られたい。