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40代や女性が多い理由

――40代や女性が多いことは想定していた?

「40代」については想定はしていました。どの自治体が行っても、サンプリングで出すと40代が一番多いと思います。40代は第2次ベビーブームなので絶対人数が多いのです。そして、就職氷河期に該当している世代なので、一番多い想定はしていました。

性別は、一般的には男性の方が多いと言われていて、2019年度の調査でも男性が圧倒的に多かったのですが、今回は若干女性の方が多くそこは意外でした。


――なぜ女性が多い?

今回の調査は専業主婦の方も対象になっています。「一定の期間、社会にかかわることなく家にずっといる人はいますか?」という聞き方をしているので、もしかしたらコロナ禍の影響もあって、そのような人がチェックした可能性もあります。

私たちは、ひきこもりを基本的には「仕事や学校等に行かず、家族以外の人との交流をほとんどしない方」としていますが、これを定義だと捉えていない人がいるかもしれません。今回はひきこもりの調査ですが、みなさんが正直に該当する部分をチェックした結果になっているのだと思います。

「何も必要ない」が3割以上…そのまま信じていいのかが課題

――ひきこもりの人が求めているもので「何も必要ない」が3割以上なのはなぜ?

これをそのまま素直に信じていいのかが私たちの課題です。ひきこもり当事者の方は結構、奥ゆかしい方が多いです。自分が外に出ることで迷惑をかけるかもしれない、という思いで、ひきこもらざるを得なくなったという方が多いのです。

家の中で、自分の存在は社会にはいらないのではないかと思いつつも、しかし死んでしまうまではいかないという状態です。お話を聞いていると、そのような方は本当は社会の役に立ちたいという気持ちがある方ばかりです。

ですので、何も要らないと書いているのは、諦めの境地もあると思いますが、本心ではないというパターンも中にはあるだろうと思っています。もちろん本心の方もいるでしょうが、私達の中では、社会の役に立ちたいと思っているひきこもりの方が多いので、そのまま鵜呑みにはできないと思います。


――この調査を受けて、これからどのような対策を講じていく?

もうすでに個別支援に進んでいる方もいます。まず最初にお一人世帯の方は必ずひきこもりの当事者が回答していますので、訪問して「どうしてそう答えたのか?」「今の状態はどうなのか?」を詳しく聞いて、本当に支援が必要かどうかの希望を伺っています。

また、同居している方々も多いのですが、中には家族に黙って回答してくださっている方もいます。その場合、ダイレクトに訪問してしまうと、家族関係を壊す可能性があるので、回答した方に対して第2次調査という質問票を送っています。

(画像はイメージ)

今回の調査では実態がつかみづらかったひきこもりに関する様々なことがわかった。しかし未回答率が42.83%だったことから、区はこの中に、支援が必要なのに手を挙げられない人たちが含まれている可能性があるとしている。
ひきこもっている人を1人ぼっちにせず、社会とつなぐための地道な対策を続けてほしい。