生活の困りごと(複数回答)については、「自分の健康」が61%、「家族の健康」が59%、「収入・生活資金」が58%で、この3つの答えが多くの割合を占める結果に。
なお、ひきこもりになった「きっかけ」が1個以下の人が74%だった一方で、「困りごと」が2個以上の人が76%だったことから、区は「1個の『きっかけ』でひきこもる要因になるが、ひきこもり当事者および家族は1つではない複数の『困りごと』を抱えていることがうかえる」としている。
江戸川区は以前から ひきこもりを問題視
今回の調査で初めて分かった江戸川区の“ひきこもりの実情”。
発表された調査報告書を見ると、冒頭に「本区においては、ひきこもりがかねてより問題視されていた」とあった。なぜ江戸川区はひきこもり問題に注目していたのか? また年代で40代、性別で女性が多いことに理由はあるのか?
江戸川区「ひきこもり施策係」の担当者に聞いてみた。
――なぜ調査をした?江戸川区は前からひきこもりを問題視していた?
斉藤猛区長が江戸川区の福祉部長時代に(2014年~2018年)、ひきこもり当事者の親御さんが、「この子のためなら50万円でも100万円でも出してもいい」とお願いする言葉を聞きました。その後、区長になった今も、ひきこもりの問題はそのままにしておいてはいけないという思いを持ち続けているそうです。
内閣府の調査によれば、日本にひきこもりの方は115万人いて、人口と比べると出現率は1.5%になります。江戸川区は人口約70万人ですので、計算上では区内にひきこもりの人は約1万人いることになります。ところが、2019年度にひきこもりの調査を匿名で行ったところ681人でした。
「こんなに少ないわけがない」と、そこで2020年度にできた「ひきこもり施策係」で、今回の実態調査を行ったわけです。
――調査対象を、給与収入がなく区の介護サービスを受けてない人にしたのはなぜ?
人口が70万人弱いて全員に送るとかなりの数になってしまいますので、明らかにもひきこもりではない人は対象外にしました。まず、お仕事に出て給料をもらっている方は違うでしょうから、給与収入を得て課税されている方は対象外としました。また、区の行政のサービスを受けている方は、ひきこもりについての情報を事前に持っているので対象から外しました。こうすると対象者は24万人弱と、18万503世帯になりました。