「え!? 100万円! そんなのありえないですよ!」――害虫・害獣駆除の専門家を取材するために、事務所に訪れた文春オンライン取材班。応接室で待っている間、聞こえてきたのは“ボッタクリ”被害者からの相談電話に対応する代表の声だった。
駆除歴30年になる代表の早川佳宏さんによれば、こうした悪質業者による高額請求に苦しむ人は少なくないという。いったいどんな人が詐欺に引っかかってしまうのか?(全3回の2回目/#1、#3を読む)
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薬をまいただけで「100万円」
――害虫・害獣駆除のボッタクリって多いんですか?
早川 まともな駆除ができない業者が増えてきています。それこそYouTubeを見て、見様見真似でやっているような。
特にインターネットが普及してきてから、増えた印象ですね。今はホームページとか、格好良く作ろうと思えばいくらでも作れるじゃないですか。さっきの相談電話も、天井と床下に薬をまいただけで100万円ですって。個人のお宅ですよ。あり得ないですね。薬をまくだけだったら、2万〜3万円が適正価格。明らかにボッタクリですよ。
――害虫駆除は、なかなか自分でできないからこそ、足元を見られがちという事情もありそうです。
早川 変なところに頼んだら、防護服を着るだけで何万円、薬剤何万円、巣を取るのに何万円とかね。普通それがワンセットでしょ。本来オプションでもなんでもないものをどんどん積み上げて、10万円、20万円とかふっかけてくるんです。
――これまで見たなかで「最も悪質なケース」は?
早川 30坪くらいの普通の戸建てだったんですが、ネズミの駆除に180万円以上かかったというケースがありました。結局、ネズミが再発生してうちに相談してきたので、10年保証をつけて26万円で処置したことがあります。
――その180万円でやった業者さんには、「保証」はなかったのでしょうか……。
早川 ないですよ。個人でやっているような業者は、たとえ「10年保証」を謳っていたとしても、電話がつながらないようにしてしまえばそれで終わり。捕まえようと思っても、きっと逃げられるでしょうね。