3K(きつい、汚い、危険)という言葉ももはや死語になりつつあるが、実はまだまだ日本にはきつい仕事……最悪の場合、命の危険さえ伴う仕事が存在する。たとえば、夕方のワイドショーでよく目にする「害虫・害獣駆除業者」。時には出産直後で命がけの害獣から襲われたり、害虫あふれる孤独死の現場に向き合うことも。

 害虫・害獣駆除にまつわる印象深いエピソードを、これまで3万件以上の駆除を担った想和ホールディングス代表の早川佳宏氏に聞いた。早川氏が見た「衝撃的な現場」とは?(全3回の1回目/#2#3を読む)

想和ホールディングスの早川佳宏氏 ©吉河未布

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高校の体育館に「300匹のコウモリ」が棲み着いた

――さまざまな現場があると思いますが、そのなかでも「これはスゴいな」と印象的だったものを教えてください。

早川 とある高校で、毎日毎日、同じ場所にフンが落ちているので、原因を調べてくれと。そこで行ってじっくり観察し、体育館にある舞台の幕をめくったら、中に300匹ぐらいのコウモリがびっしり。ブワーッと、それはものすごい数でしたね。すべて駆除するのに1週間ぐらいかかりました。ただ、コウモリも慣れればかわいいものですよ。

 強烈だったのは、床下からの臭いが酷くて、何かがいるようだから来てほしいという依頼。いざ床下に入ってみたら、体が半分だけになった、ウジ虫まみれの大型犬がいたことがありました。迷い込んだんでしょうねえ。

コウモリ駆除の現場。害獣と言えども、殺すことはない(画像提供:想和ホールディングス)

――空き家に迷い込んだ動物が、そのまま棲みつくことも?

早川 空き家は彼らにとって楽園で、家じゅう棲み処になりますよね。最近いちばん驚いたのは、「近所の人が何かを目撃したらしいから、見てくれ」という連絡をもらって行ったら、押入れからハクビシンが6頭も出てきた時です。

 もともと天井にいたんでしょうけど、押入れの天袋が落ちて、ちょうど下にあった布団の上に巣を作っていたんですね。ふすまを開けたら6頭のハクビシンがこちらを見ているから、「ワァッ!!」て。