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不衛生なサウナを棲み家にする「トコジラミ」

――トコジラミというのは?

早川 トコジラミは、いわゆる「南京虫」のことで、戦前~戦後にかけて大流行しました。刺されると皮膚をかきむしりたくなるほどのかゆさに悩まされます。

 ただ戦後、衛生環境が良くなったことや殺虫剤が普及したことなどで、いなくなったんです。

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 でも近年、東南アジアなど海外からの旅行者にくっついてトコジラミが持ち込まれ、再び急増しています。今のトコジラミの大きな特徴は、ピレスロイド剤がまったくきかなくなっていること。抵抗性を持つようになっているので、農薬系の特殊な薬剤を使わないと駆除することができないんです。

不衛生なサウナを棲み家にするトコジラミ 写真はイメージです ©iStock.com

――どういったところで、トコジラミをもらってしまうのでしょう。

早川 最近多いのが、サウナですね。常にあったかいし、不特定多数のお客さんが利用するじゃないですか。カプセルホテルにくっついているようなサウナから駆除依頼を頼まれて、カーペットをめくったらものすごい数のトコジラミが……なんてこともありましたよ。ほかにも、ソファにいたりね。

写真はイメージです ©iStock.com

――いわゆる「サウナ部屋」にいるだけとも限らないんですね。

早川 待合室とかね。何気なくそういったところに触れて、家に持って帰れば、そこでもトコジラミが繁殖することになってしまいます。人が持ち運ぶことで、どんどん汚染されていってしまう。しかも、身体についているだけではありませんからね。バッグなのか洋服なのか、どこについているかわからない。それがイヤだったら、もうサウナは行かないことです(笑)。

ゴキブリ、ダニで気をつけるべきは

――近年、気密性が高いマンションが増え、ノミやダニが生息しやすい環境が整っているといわれます。

早川 吸血性昆虫は、家の窓を開けて風通しをよくして、湿気がこもらないようにすることが何よりも大事です。例えばダニは70度以上の熱で死にますから、スチームクリーナーなんかで週に1度掃除をする。薬をまくよりも、そっちのほうが効果的です。可能な限り換気を意識して、清潔な環境を作ることですね。

――ゴキブリの予防は。

早川 これはもう、汚い環境を作らないということに尽きます。洗い物を流しにためない、ゴミをちゃんと捨てる。通販のダンボールなんかも、汚いですから。とにかく発生・繁殖しないように、エサとなるものを置かないこと、衛生面を保つということがいちばん大事です。

 1年に1回、あたたかくなるまえに、ホームセンターで売っているような、虫よけの薬をまいておくとかね。簡単なことでいいんです。発生してどうしようもなくなる前にやっておけば、多少なりとも抑えることはできますから。予防にまさるものはありません。「駆除すればいい」ではなく、「予防で抑える」という意識が大事だと思います。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。