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わいせつ事件の対象者が女性の胸を触って…

「対象者が入院する『司法病棟』は全室個室で、食堂やホール、体育館などがあります。依存症の座学や自己管理などの治療プログラムに参加して社会復帰を目指します。ある程度、回復していくと、対象者は近隣の商業施設に外出することもある。治療が進むと外泊も認められます。

 ただ、強制わいせつ事件を起こした対象者が女性スタッフの胸を触ったり、放火事件の対象者がスタッフを殴ったり……。正直治療できているのかなと疑問を抱くこともあります。数年前ですが、外泊中の対象者が自殺してしまったこともありました」

 Aさんによると、強制わいせつの罪を犯した統合失調症の20代の男性対象者Yさんは2年近く保護室で隔離されていたという。

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※写真はイメージです ©iStock.com

「保護室に隔離しても、問題行動は止まっていません。昨年8月に全裸で放尿し、『水練』と称して床で滑っていました。同年10月には女性看護師が突然、胸を揉まれ、12月6日には看護師にパンチ5回、キックを3回。今年1月25日にも、看護師がいきなり首をしめられ、胸に蹴りをいれられました。その後はトイレにたてこもろうとしました」

病棟内で発生した「殺人事件」

 こうしたトラブルは日常茶飯事だが、対応する看護師らは「普通の人」。屈強な肉体をもっているわけでも、護身術を身につけているわけでもない。

「自宅に放火した40代の男性対象者は、幻聴がすごいため問題行動も深刻なんです。昨年12月、他の対象者に殴りかかったり、スタッフ3人に対して大暴れし、看護師はめがねを壊されたり、殴られて鼻血を出したりしました。今年に入って、自宅に放火した20代の女性対象者が強化ガラスを割ろうと椅子を投げたこともありました。10年以上前ですが、病棟内で殺人事件が発生したこともありますよ」

 当時の報道などによると、2011年11月3日、千葉県内で殺人事件を起こし入院していた当時31歳の男性対象者が、入院していた56歳の男性の首を両手で絞めて殺害している。

 しかしAさんは「対象者が悪いと言いたいわけではないんです」と続ける。