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「看護師はなぐられて当たり前」医療観察法の限界

「この制度では、実際に行われた治療内容に関係なく、厚労省が定めた基準に従って、1日の入院費が国から病院に対して支払われます。ですから、どんな治療を施しても、病院が得られる金額は変わらない。

 暴力衝動を抑える薬などもありますが、『看護師はなぐられて当たり前』だから対象者に処方していないのではないか……。薬を処方してもしなくても国から支払われる金額が一緒なら、薬を処方しない方が儲かりますからね。ここまで改善が見られないと、必要な治療がなされていないのではないか、と疑ってしまいます」

 同センターにもトラブルについての事実確認と見解などをたずねたところ、以下のような回答があった。

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※写真はイメージです ©iStock.com

《当院としては個別の事案についての回答は控えますが、当院に来る対象者の性質上、職員への暴行は時には起こりえます。少なからずそのようなリスクがある中で、スタッフは日々、治療にあたっています。

 必要な治療を行っていないという事実はなく、定められたルールの中で、患者さんの回復に必要な治療を行っています。

 厚労省の監査については毎年の年次監査があっただけだと承知しており、内容は控えますが、医療観察法病棟として一般的に留意すべきものだったと理解しています。

 当院には統合失調症の患者が多くクロザピンという治療薬をはじめ各対象者の疾患に適した新たな治療も取り入れながら、今後も患者の回復、社会復帰に向けて医学的な判断に基づく適切な治療を実施していく方針です》

 Aさんは「現場スタッフのためにも、そして対象者自身のためにも、なんとかしてこの環境を変えたい」と悲痛な面持ちで語っていた。

 精神医療の現場は過酷だ。その最たる例である医療観察法の対象者の治療について、議論すべき時が来ているのかもしれない。医療観察法が施行されてから17年、精神科の通院者は増え、医療観察法病棟が初めて北海道に設置されるなど拡充が続いている。