早稲田大学在学中にAV女優としてデビューした渡辺まお(22)。2020年12月には「文春オンライン」でのインタビューにも応じ、AV女優としての意気込みを語っていた。しかし、今月突然の引退を発表し、名前も神野藍(じんのあい)に改名した。第一線で活躍してきた彼女はなぜAV女優をやめたのか――。
AV女優をやめた経緯や家族との関係性、AV新法に思うことなど、詳しく話を聞いた。(全3回の3回目/最初から読む)
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性産業のハードルがすごく下がっているなと感じる
――先日AV新法が成立しました。年齢性別を問わず、映像を公表した日から1年間は無条件で契約を解除し、販売や配信の停止もできるなど、出演強要の被害に遭った人を救済する法律ですが、この一連の流れをどう見ていましたか。
神野 Twitterで議論されていましたけど、もう少し多くの人の声が反映されているとよかったのかなと思いました。たくさんの方が声をあげていましたけど、嫌でやめた子の声って届きづらいじゃないですか。
今、AV女優として活動している人は、AV女優という仕事をいいと思っている人が大半だと思いますが、辛くてやめていった人の中にはAVをよく思わない人もいて。大事なのはやめていった人たちの声だと思うんです。その辺りをもう少し汲み取ってくれたら良かったと思いますね。
それと業界ともっと話し合うべきだったとも思います。AV新法が成立してから現場で混乱が起きているのも事実ですし、現場で判断するのはAV側なので、国側と齟齬があるのは問題だと思っています。
でも、出演を辞退したい人が申請できるのはすごく良いことだと思いますね。国が介入することで、少しでも被害を少なくしていってほしいです。
ただ、国がどれだけ取り締まっても、抜け道を探す悪い業者もたくさんいると思うんです。それにお金がないなら性産業に就けばいいと思っている人がたくさんいますが、本当ならばその判断に至るまでに、行政の助けが入るのが健全な社会であると思っています。
――性産業の入り口は広くなっている気がします。
神野 そうですね。最近私にも怪しいDMが来るんです。「TikTokとYouTubeの撮影1本20万です。エロインフルエンサーになりませんか」って。
「セックスをするわけではなくて、少し露出した格好で動画を撮ったり、えっちな動きをするだけです」って謳ってるんですけど、そんな甘い話はないですし、実際は怪しい同人AVや無修正の撮影だったということもあります。もちろんそうでなくてもデジタルタトゥーは残りますし、契約の取り消しができなかったり、支払いがちゃんとされなかったりということも多いです。性産業のハードルがすごく下がっているなと感じるので、そういうのは気をつけて欲しいですね。
――AV新法の議論から、Twitterなどでは本番ありのセックスをする是非についても言及されていました。