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「青ヶ島には差別や偏見がないけど…」絶海の孤島出身の38歳女性が語る、東京本土で感じた“都会と離島のギャップ”

青ヶ島ちゃんねる・佐々木加絵さんインタビュー #2

2022/06/26

 東京都心から約360km離れた“絶海の孤島”、青ヶ島。八丈島を経由してヘリコプターか連絡船を利用しないとたどり着けず、それぞれ1日1便しか出ていない。ヘリコプターの席数は9席のみで予約が困難、連絡船の就航率は5割程度とも言われている。

 さらに2022年6月1日時点の人口は166人で、「日本一人口の少ない村」としても有名だ。島内には高校がないため、ほとんどの島民が中学卒業と同時に東京本土で一人暮らしを始めるという。

 YouTubeチャンネル「青ヶ島ちゃんねる」を運営する青ヶ島生まれ・青ヶ島育ちの佐々木加絵さん(38)も、高校進学と同時に都会で一人暮らしを始める。そして約20年後の2019年に青ヶ島に戻ってきた。そんな彼女に、青ヶ島と都会の生活の違いや、青ヶ島に戻ってきた理由を聞いた。(全3回の2回目/1回目から続く)

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青ヶ島生まれ・青ヶ島育ちの佐々木加絵さん

◆◆◆

20年暮らした都会から青ヶ島に帰郷した理由

――青ヶ島から出て、東京本土での暮らしはどうでしたか?

佐々木加絵(以下、佐々木) 最初は島と都会のギャップに戸惑うこともありましたが、徐々に毎日が楽しくなっていきましたね。私はファッションや美容、エンタメが好きだったので、どんどん新しい情報が入ってくる東京本土の生活はすごく刺激的で。

 高校卒業後は大好きな美容やファッションの仕事に就いて、忙しくも充実した生活ができていました。社会人になったばかりの頃は「もうエンタメの少ない生活には戻れない!」と思っていたくらいでしたね。

加絵さんは中学卒業後、20年ほど東京本土で暮らしていた

――そんな充実した都会生活を送りながら、なぜ青ヶ島に戻ったのでしょう。

佐々木 直接のきっかけは、父が亡くなったことです。私の母は民宿「かいゆう丸」を経営しているのですが、もともとは父と2人で切り盛りする予定だったんです。

 でも、宿の建設中に父が突然病気で倒れてしまって……。「今親孝行しておかないと」と思って、帰郷しました。青ヶ島の法事は少し独特だし、民宿の手伝いもしなければいけないので。

――独特な法事とは?