島民の絆を強くした大噴火の歴史
佐々木 青ヶ島は江戸時代に大噴火があって、生き残った人たちは八丈島に避難したんです。でも故郷に戻るため約50年かけて、帰還を果たしました。この歴史が、島民の絆の強さに影響しているのかもしれません。「先祖が助け合って生きてきた文化を大事にしよう」という気持ちが今も島全体に強く根付いているのだと思います。
――島の歴史が脈々と受け継がれているんですね。一方で、歴史や絆があることで閉鎖的になったりしないのでしょうか?
佐々木 島外の方からは、よくそういう質問をされますね。村独自のルールや、差別・偏見があるんじゃないかって。でも、青ヶ島は人口が少なすぎてそういったことができないんですよ。
もちろん、島民も都会の人たちと同じ人間なので、ときにはルールに従わない人もいます。でも、そういう人ともどうにか折り合いをつけたり、見守ったりしながら生活しているんです。
それに人口が少ないから、青ヶ島の魅力をわかって観光や移住に来てくれる人は歓迎する雰囲気があります。
ほぼ全員が“移住経験者” 観光や移住で来てくれる人への思い
――最近は地方移住が注目されていますが、いざ移り住んでも地元に溶け込めなかった……という話も聞きます。なぜ青ヶ島の島民は外から来た人にも寛容なのでしょう。
佐々木 青ヶ島では、高齢者も若い人もほぼ全員が“移住”を経験しているからだと思います。島内に高校がなくて、みんな1度は島外で一人暮らしを経験するので、知らない土地で生活する難しさや心細さを知っているんですよね。
わざわざ青ヶ島を選んで観光や移住をしてきてくれる人は精一杯歓迎したいし、できるだけ寂しい思いをしてほしくないという考えの人が多いのかもしれませんね。
写真=佐々木加絵さん提供