この年齢、この実績の選手がこの時期に2軍落ちする意味は重い。番記者の「引退発表もあり得ると警戒していました」との言葉も大げさではない。
「自分からユニホームを脱ぐと言うわけがない」
しかし、この備えを福留の元同僚選手は一笑に付す。この元選手はまず、福留が1995年のドラフト会議で7球団競合の末、1位指名を受けた近鉄入りを拒否し、社会人野球を経由してでも希望球団への思いを貫くなど、「鋼のメンタル」の持ち主であると指摘する。
「あの性格からして自分からユニホームを脱ぐと言うわけがないでしょ。中日が契約してくれなければ、他球団でプレーする道を探ることだってあり得ないわけではありません」
とことん現役にこだわるとの見立てを述べた。
立浪長期政権に向けた人身御供
大選手の引き際は、自身に結論が委ねられる側面があるだけに、いつの時代も波乱含みだ。2019年、阪神は2000安打をクリアしていた鳥谷敬に一方的な“事実上の引退勧告”を行った。球団が指導者への道など将来のビジョンを擦り合わせなかったため、鳥谷は態度を硬化させた。結局、けんか別れとなり、移籍したロッテで引退したことは記憶に新しい。
「中日は、福留には穏便に身を引いて欲しいと思っているはず。もめると球団のイメージダウンにもなりますから」(遊軍記者)
この遊軍記者はそう指摘した上で、福留に引導を渡すキーマンとして立浪監督の名を挙げた。
長く監督をやるには、勝敗以外の評価も
「監督は福留に、引退後はコーチとして自分を支えて欲しいと思っているのではないでしょうか。ちょうど今季途中に中村紀洋打撃コーチが2軍に行ったことで、打撃コーチのポストは空いているも同然。PLの大先輩の頼みや助言なら、福留も耳は傾けるでしょう。
それに福留をすんなりとやめさせ、地元の消化試合で引退興行でもできれば球団には願ったり叶ったり。立浪監督は管理能力の高さを、球団にアピールすることにもなります。(契約の)3年で終わるつもりはないでしょうから、長く監督をやるには勝敗以外の評価も得ておきたいと思うのは当然です」