低金利政策を続けていけば、円安はさらに加速する
だがこのまま低金利政策を続けていれば、内外金利差の拡大による円安はさらに加速する。業績不振で売却を発表した大手百貨店の西武やそごうの入札に殺到するのは、外資系不動産ファンドだらけだ。北海道のニセコではこの冬に復活するであろうインバウンドのためにコンドミニアムなどの開発が進むがオーナーはシンガポールや香港、韓国資本だ。これは不動産だけではなく、企業のM&Aでも日本の優良企業の多くが外資系による買収の脅威にさらされている。円安は外資によるニッポン買いを助長し続けるのだ。
円安の進行は庶民の生活を破綻させる。電気、ガス、水道、ガソリンなどの生活インフラコストの値上がり、食料自給率37%の国では輸入食料品の値上げは生活に直結する。資材や物流費の値上げは生活物資の多くで値上げを余儀なくさせる。加えて住宅ローンの金利上昇は、多くの庶民の生活を奈落の底に突き落とすことになりそうだ。
これからの日銀総裁は
日本は産業構造を根こそぎ変換しないかぎり新しい成長ステージに乗ることはできそうにない。世界の発展から周回遅れになっていることにようやく一部の人たちが気付き始めているが、現状で日銀黒田総裁では手の打ちようがない事態に陥っている。したがって黒田総裁は、すでにその役目を終えているといって良いだろう。彼が基盤とし、これまで培ってきた成功のためのプラットフォームではもはやどうにも解決策が生まれないのである。
いわば黒田総裁の発言は彼の願望にも近いお願いであったのかもしれない。そしてこれを日銀総裁の失言ととらえて批判しまくる先に日本の未来はないことだけは確かだろう。
一つだけ言えることは、黒田総裁の在任中は先送りされるだろうクライシスが、来春以降、日銀を背負う新しい総裁に降りかかること。それを誰が引き受けるかであろう。