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「結果的に人間関係が円滑になることが多い」『ソロ活女子のススメ』著者が語る、1人時間を楽しむ“意外な心構え”

朝井麻由美さんインタビュー#1

2022/08/06
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「学校や職場とは別に居場所を作るのがいい」

ーー今でも、当時の朝井さんと同じように悩んでいる人はいそうです。

朝井 いますね。TwitterのDMで相談を受けることも。学校や会社の雰囲気に馴染めないって悩みはよく聞きます。それでも、多少無理してでも周りに溶け込まないと、後ろ指をさされないか怖い、と。

ーーそういう方が、1人の時間を持つためにはどうしたらいいんでしょう?

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朝井 別に、学校でも職場でも1人で全然いいんですよ。集団行動ってマナーでもルールでもないから。“そういう雰囲気”があるだけで、みんなと同じ行動をとらなくても誰にも迷惑はかからないんです。だから、勇気を持って集団から離れてみましょう。

 ……と言われても、一歩踏み出せないですよね。私もそうだったからすごくわかります。現実的なところで言うと、学校や職場とは別に居場所を作るのがいいと思います。

©杉山秀樹/文藝春秋

ーー別の居場所?

朝井 例えば、自分の趣味を語るSNSのアカウントを作るとか。最近だと、友だちとつながっているアカウントの他に、“推し”の情報収集のためのアカウントを作ることも珍しくないですよね。

 他にも習い事を始めるだったり、趣味のコミュニティに入るだったり何でもいいのですが、自分の属性をとっぱらう人間関係を持つようになると、学校や職場の人間関係に囚われなくなると思うんです。

ーー他にも居場所があると、既存の人間関係に囚われなくなる?

朝井 学校や職場にしか居場所がないと、何が何でもその居場所を守らなきゃと固執してしまいがちになります。そこを失ったら、孤立してしまうから。

 でも、他の居場所を持っていると、仮にメインの居場所を失っても「私にはまだあの場所があるから、まぁいいか」って思える。居場所をいくつも持つことで、1人で行動することが怖くなくなってくるんですよね。

 そして、1人で過ごせるようになると、結果的に人間関係が円滑になることが多いんです。人間関係の悩みって、ほとんどが自分と人との適切な“距離感”を把握できていないために起こるものだと思うから。

ーー“距離感”とは?

朝井 自分はどのくらい人と関わるとストレスを感じるのか、というラインです。「起きている間は人と関わっていたい!」という人は、学校や職場でずっと誰かと一緒にいても楽しめるかもしれません。でも、「5時間連続で人と関わるとストレスを感じてしまう……」という人は、休憩時間やお昼の時間に1人の時間を作らないと、学校や職場がしんどくなってしまいますよね。

 時間の長さだけでなく、どれくらい人に依存するか、密に関わるか、といった精神的な面での“距離感”もです。誰かと長く、濃く過ごせば過ごすほど、互いの嫌な部分を見せ合うことにもなるでしょうから。