朝井 学校や会社といった“誰かと一緒にいる時間”だけではなく、1人の時間もきちんととることで、自分の“心地よい距離感”が少しずつわかってくるんです。そうすると、自分に必要な1人時間が明確になって、集団生活の中でも意識して息抜きできるようになります。
だから、ソロ活をすればするほど人間関係が円滑になるというのは、ある意味理にかなっていると思いますね。
ーーソロ活が人間関係の悩みを軽減する可能性があると。
朝井 ただ、ソロ活はあくまで数ある手段の中の“選択肢のひとつ”なんです。「人間関係を良くするためにソロ活をしよう」とか、ソロ活自体に意味を求めるのは違うかなと。
それよりも、自分のしたいことや好きなものをシンプルに楽しめる状態を作り出すのがいいと思っています。その結果、大勢とわいわいするほうが楽しいと思うなら仲間を集めたらいいし、1人のほうが楽しめそうと思うならソロ活をしたらいい。どんな場面でもソロ活を推奨しているわけではなくて、選択肢のひとつとしてソロ活を選べるのが健全な状態だと思います。
自分の“好き”に気づく方法
ーーいざ自由な時間ができてみると、「1人だと何していいかわからない」という悩みもよく聞きます。
朝井 多分、自分のために時間を使うことに慣れていない人が多いんですよね。仕事や勉強に日々追われている人もそうだし、誰かのためにばかり時間を使ってきた人もそう。
ーー誰かのために時間を使ってきた?
朝井 よく相談であるのが、「子どもが大きくなって手がかからなくなってきて、自分の時間を持てるようになってきたのに、何をしたらいいのかわからない」と。作るご飯も家族の好きなもの、遊びに行くのも家族の好きなところ。ずっと家族優先で過ごしてきたから、自分が何が好きだったのかすらわからないと悩む方って結構多いんですよね。
ーーせっかく1人時間ができても、自分のやりたいことや好きなことがわからなくて時間を持て余してしまうと。朝井さんはどうやってやりたいことを見つけているのですか?
朝井 私は食べ歩きが好きなのですが、これに気づいたのって実は『ソロ活女子のススメ』を書いた時なんです。
ーー本を書いた時? どういうことでしょう。
朝井 興味のあることややってみたいことをリストアップしていった時に、食べ物に関することがやたら多かったんですよね。それに、食べ物に関する原稿を書いている時はめちゃくちゃ筆がのるんです。本を出すまでも1人で食べ歩きはよくしていたのに、「自分は食べ歩きが好き」ってまったく思っていなくて。本を書きながら気づいて、自分に驚きました(笑)。
自分の好きなことややりたいことがわからない人でも、ちょっとでも興味のあることや気になることをとにかくリストアップしてみると、自分も気づかなかった“好き”に気づけるかもしれません。