「芸能界のキャリアを捨ててよく飛び込んだね」と言われ…
――子育てをすると、待機児童問題をはじめ、社会と直結した悩みにぶつかりますよね。
市井 「芸能界のキャリアを捨ててよく政治に飛び込んだね」と度々、言われました。でも、私の中ではそんなに突飛なアクションではなかったですね。
20歳ではじめて子どもを持ったとき、周りに同年代のお母さんは皆無で、育児ノイローゼになりました。母子家庭の環境で育ち、私自身も再婚するまでシングルマザーを経験しました。金銭的にも肉体的にもとても大変で、子育ての苦しさを解消するために行き着いた先が行政でした。なので、政治はむしろ子育てでぐっと近くなっていたんです。
――ちなみに今は、立憲民主党の党員という状態ですか?
市井 いえ、党員ではありません。ただ前回選挙が「次点」だったので、たとえば現職の参議院議員のどなたか失職するようなことがあれば繰り上げ当選になる、という立場ですね。
――国政に参戦することになったとき、家族の反応はどんなものでしたか。
市井 夫はかなり戸惑っていましたね。ただ、自分自身にできることが少なからずあるのではないかと切々と話をして、最後の最後は「紗耶香は折れないから……」と納得してもらいました。落選してしまいましたけど、挑戦できて本当に良かったと思ってます。後悔はまったくないですね。
子育て、「元モー娘。」…市井さんの直面した政治の壁
――7月の参院選を辞退した理由について、子育てと選挙活動の両立の難しさを挙げられていました。
市井 私が選挙活動するには4人の子どもたちを誰かにケアしてもらわないといけない。たとえばご飯が作れないから外食したり買ってきたもので済ませるにしても、それが続けば金銭的な負担も増える。休みの日や地方での活動依頼があっても、急な場合は特に調整が困難です。
あとに続く若い人のためにも、政治参画のハードルを下げるためにも、こういった問題は党派を超えて話し合ってほしいひとつですね。
――加えて高い知名度ゆえ、市井さんへの期待値も相当だったと思います。プレッシャーもあったのでは。
市井 子育てに関する生きづらさを変えていきたい思いで政治活動をはじめましたが、その思いよりどうしても「元モーニング娘。」という部分が注目されてしまいがちで、難しさを感じましたね。