「『Wow Wow Wow Wow』と言ってほしいんですか?」
――具体的にはどんなときに難しさを感じましたか。
市井 たとえば私が誰かの応援演説に行くと、マスコミの方たちが「日本の未来は?」と聞いてくる。「Wow Wow Wow Wow」と言ってほしいんですか?という感じですよね。
私としてはなんとしても投票行動につなげたい、今の日本の状況を変えたいと必死に訴えていましたが、なかなかそこが伝わらず、「色物」として扱われてしまう。歯がゆかったです。
あとは、候補者の方から「1分に1回『市井紗耶香は〇〇を応援しています』と言ってくれ」と言われたこともありました。
――候補者が、市井さんのネームバリューで自分のことをアピールしてほしい、ということですね。
市井 私もこの夏の選挙に出る予定だったので、「必ずお返しはするから、顔を売っておくつもりでやってくれ」という意味もあったのでしょう。「選挙は選挙で返す」と言われているそうです。
ただ、こういった選挙の仕方だとなかなか政治は変えられないのではないか、とも感じました。問題解決のために政治活動に入ったはずが、票固めに重きが置かれてしまい、「問題」のほうが置き去りになってしまう……といったらよいのでしょうか。
たとえば街宣ひとつとっても、有権者にリアルに寄り添ってくだけた話をするほうが、今という時代には伝わる気がします。投票システム含め、現代的にアップデートしていける部分が政治の場にはたくさんあるのではないでしょうか。
そういった課題を身を以て知ることができた点も含めて、本当に選挙に出てよかったと思っています。
――また機が熟したら挑戦してほしいです。
市井 記者の皆さん、皆さんそう言ってくださいます。ありがとうございます。ただ、今は広い視野で物事を見ていたいです。バッジが付いていようがいまいが、生きていく限り、生活と政治は切っても切り離せません。だから、日常生活の中で政治の話を自然に話すことができる土壌づくりや、皆さんに喜んでいただけるようなライフワークをしていきたいと思っています。