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右膝前十字靭帯の再建手術をした僕が、中日の未来の主砲・石川昂弥選手に伝えたいこと

文春野球コラム ペナントレース2022

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 BOYS AND MENの辻本達規です! 先日、右膝前十字靭帯の再建手術を行い、16日間の入院生活が終わって退院しました。

 入院は思ったより長く、大変でした。ドラゴンズの試合を見るのが唯一の楽しみで、たとえ何連敗していても楽しみで仕方ありませんでした。退院しても、松葉杖でゆっくりとしたスピードでしか歩けません。痛み止めを飲んでも膝は痛いです。まだまだリハビリの日々が続きます。

筆者・辻本達規(BOYS AND MEN)

 膝前十字靭帯といえば、ドラゴンズファンのみなさんは石川昂弥選手のことを思い出すでしょう。石川昂弥選手は7月1日に左膝前十字靭帯の再建手術を行いました。

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 石川昂弥選手が手術に踏み切ること、本格復帰は来年の夏以降になることを聞いて、みなさんはどんな気持ちになったでしょうか? 今季中の復帰を期待していた人はガッカリしたかもしれません。それぐらい活躍していましたから、気持ちはよくわかります。

 でも、石川昂弥選手が保存療法を選ばず、手術を受けると決断したというニュースを聞いたとき、僕は心の底からホッとしました。本当に「よかった!」と思ったんです。

石川昂弥

石川昂弥の「優しさ」が出てしまったプレー

 石川昂弥選手が左膝を故障したのは5月27日のオリックス戦でのこと。三塁手からのそれた送球を受けようとした一塁手と衝突するのを避けようとしてバランスを崩してしまい、左膝を痛めてしまいました。診断結果は、左膝前十字靭帯不全損傷。

 僕は石川昂弥選手の優しさが出てしまったプレーだったと思います。一塁手にぶつかってもいいから、まっすぐ進むべきでした。後から清原和博さんが同じことをおっしゃっているのを記事で知りました。石川昂弥選手も、首脳陣の誰かから同じことを言ってもらっているんじゃないでしょうか。

 とにかく今年の石川昂弥選手には期待しかありませんでした。地元の高校を卒業したドラフト1位で、まだ21歳。ヤクルトの村上宗隆選手や巨人の岡本和真選手のように、向こう10年はドラゴンズの4番を張れる選手になる。みんな、そう思っています。そして、その片鱗は間違いなく見えていました。

 巨人・菅野智之投手からインハイの球を左中間のスタンドに叩き込んだホームランなどは、これまでドラゴンズにいなかったバッターが芽吹いていく瞬間を見ているようでした。チームが勝っても負けても「昂弥くんが打ったから、明日につながるな!」と思えますし、本当に打席を見るのが楽しみなバッターです。

 今は何より本人が一番悔しくて焦っているでしょう。本当なら今頃グラウンドで躍動していたはずですし、1年間通してプレーできるはずだったんですから。

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