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“いてまえドッグ”だけではない…「球場グルメ」の誘惑

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/07/24

 プロ野球観戦の楽しみのひとつに「球場グルメ」があると思う。なかなか行く機会のない遠方の球場ともなればそのワクワクは一際格別である。関東在住オリックスファンの僕などは本拠地・京セラドームに行くのも「お祭り」だ。この時ばかりは散財上等の覚悟で新幹線に乗り込み、Bs SHOPの新商品をスマホでチェックし「いてまえドッグ」に思いを馳せながら西へ西へ向かう。

いてまえドッグ

球場グルメの原点「球場名物ラーメン」

 思えばそんな僕の「球場グルメ」の原点は今から35年ほど前に川崎球場の場外にあったお店の「球場名物ラーメン」だ。何の変哲もない王道の醤油ラーメンだった記憶があるが、詳細は覚えていない。が、行けば必ず試合前にここのラーメンを食べ、3回終了時に温かい味噌田楽(確か100円だったと思う)を食べた。当時中学生だった僕には美味しかった記憶だけが鮮明にある。親も知り合いもいない場所で川崎球場に集うタフな大人たちに混じって独りぼっちでこの2品を食べるルーティーンは、今思えば僕の人生において重要な「大人への通過儀礼」であった気もする。

 ちなみにここのラーメン、店内で食べているとロッテの若手選手がやってきてお盆に乗った2杯3杯のラーメンを球場に持っていく姿が目撃できた。あれも「昭和の風景」なのかな。

 そんな印象深い球場グルメ初体験を堪能した僕だったが高校生になるとロッテは川崎球場を去ってしまい「球場名物ラーメン」とも別れの時を迎えてしまう。

 傷心の僕を癒してくれたのは(小学生まではヤクルトファンだったので定期的に訪問する)神宮球場の「水明亭の天ぷらうどん」。そして当時住んでいた西武池袋線大泉学園駅から最も近い西武ライオンズ球場の「狭山そば」と「狭山茶」だった。ちなみに西武球場に行く時は球場で試合前に狭山そばを食べ、試合後の帰り道でも電車を乗り換える所沢駅の駅ホームにあった立ち食いの「狭山そば」を堪能するそば尽くしの野球観戦が高校時代の恒例だった。

大人になって幅が広がった「球場グルメ」

 お金に全く自由が利かない学生時代でもあれだけ楽しかった「球場グルメ」遍歴。大人になって多少は経済的にゆとりができてお酒も美味しく飲めるようになったらそりゃあ楽しさ倍増です。今年は25年間の会社員生活に別れを告げ独立したこともあり例年ほど野球観戦に行けないのが残念だが、

 それでもベルーナドームの「狭山茶」で喉を潤し、

 ZOZOマリンスタジアムの「焼きそば」「もつ煮込み」「きゅうりの浅漬け」を味わい、

 横浜スタジアムの「ベイカラ」「ベイ餃子ジンジャー」「崎陽軒のシュウマイ」を堪能し、

 先日は今年初めて我らが本拠地・京セラドーム詣に成功し「いてまえドッグ」の変わらぬ無敵の美味しさを確認して参りました。

ベイ餃子ジンジャー

 ちなみに椋木蓮が9回2死2ストライクまでノーヒットノーランの快投を演じたあの試合でございます、ええ。人生で初めてノーヒットノーラン試合を現地観戦できるかと思ったけど、達成するより3倍貴重な「9回2死からヒットを打たれた試合」を生観戦できたので椋木くんには感謝しかないです。いやー本当に凄い伸びのストレートを投げてました。

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