――「なめられやすさ」は無意識的にせよ自分で選んできた道、と。
山本 どんな性格も、いい面と悪い面があります。ツンとしてて周囲に睨みを利かせていたら、友達になりづらいじゃないですか。私と同じようになめられやすくて嫌な思いをしている人たちも、その「なめられやすさ」によって恩恵を受けているはずなんです。いま付き合ってくれている友達は、アナタのその雰囲気が好きで寄ってきてくれたかもしれない。悪い面ばかりじゃなくて、いい面にも目を向けると、「なめられやすさ」も不幸ではなく、むしろ「よかった」と思えるんじゃないでしょうか。
――なるほど。
山本 私は嫌なことがあったらマンガにしますけど、それは「こんなことがあって私は怒っているんだ!」とか「社会の悪を懲らしめたい!」と告発するつもりは全然なくて、友達との飲み会で笑い話をするような感覚で描いています。だから「そんな馬鹿な奴がいるんだぁ」くらいの軽い気持ちで読んでくれたらな、といつも思っています。
――最後に、3巻のオススメのエピソードは?
山本 ヨネちゃんの出てくる回ですね。私はすごい好きです。私の人生の中でも、とても不思議な体験でした。私は楽しいと思っていたので、老後になってマンガが描けなくなったら、ヨネちゃんのような「なんでも屋」をやりたいと思ってます(笑)。
写真=杉山秀樹/文藝春秋
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文春オンラインに連載中の『きょうも厄日です』第3巻が6月30日に発売されました。ちょっぴり怖い話に驚きの展開、笑うしかない話まで……。山本さんの旅行友達・こうのさんとの「いまだから話せるナイショの話」を描きおろし!!