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――世田谷区役所とのやりとりで炎上したマンガ(1巻の巻末特別編)の大元は、その流れで描かれたものなんですね。

山本 そうです、そうです。悪いことが起きてもブログやツイッターに描けば「みんなが笑ってくれればそれでいいや」と思えるので、タダでは起きないというか、そのこと自体を楽しめるんですよね。『きょうも厄日です』は、そういう日記感覚の延長線上にあるものです。肩の力が抜けているので、描いていてとても楽しいです。

エッセイマンガを描くうえでの心がけ

――エッセイマンガはプライベートな出来事を題材にしますが、その際に心がけていることはありますか?

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山本 場所が特定できるようなものはボカしたり変えたりはしますけど、嘘が苦手なので、まるっきり嘘は描けないです。嘘をついたほうが面白くなるんじゃないかと思うこともあるんですけどね。

 たとえばストーカー被害に遭っていた話(「本当にあったインターネット怖い話」1巻収録)なんかは、最終的に犯人を捕まえたり、とっちめたりできればスカッとするはずなんですけど、結局、何も見つかっていないし、何も起きませんでした。それをそのままマンガにしたので、読んでくれた方は、だいぶモヤモヤしたんじゃないでしょうか。

 

――トラブルに巻き込まれることが多いようですが、自分から首を突っ込んでいくことはしていないものの、逃げずにその場にとどまっているような印象を抱きます。

山本 それはあるかもしれないです(笑)。電車で酔っぱらいのおじさんに遭遇(「酔っぱらいと電車」2巻収録)したときには、みんながおじさんを避けて逃げていくのを「かわいそう」と思ったんです。まだ何も起こしていないのに、偏見の目で見て逃げるのは差別っぽいかなと思い、その場にとどまったんですね。

――面白そうなことが起きそうだ、と期待したわけではないんですよね。

山本 そうそう。「大丈夫、大丈夫」「私はそういうの気にしない」と思っていたら、案の定、めちゃくちゃ巻き込まれました(笑)。