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「感情がないわけではなく、感情を知らない」林原めぐみが綾波レイを演じる過程でたどり着いた“人間の表と裏”

『林原めぐみのぜんぶキャラから教わった 今を生き抜く力』より#1

2022/07/22
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 (2)彼氏と別れたい、でも出来ない。「いくら言っても別れてくれないの~」と相手のせいにしたり、「このままじゃダメだって、わかってはいるんだけどねえ~」と言いながら本当はわかりたくないし、わかっていない。だって、わかったら一人になっちゃうから、わからないままでいることにする。ゆえにズルズルと…。

「一人になるのがさみしいから別れられないの、私」と、自分の気持ちをちゃんと自覚しているならまだいい。ようはその自分をごまかして相手のせいにしてしまうと抜け出せない。なぜならそこを自覚して律しないと、無意識に他人を(彼氏含む)自分のさみしさを埋めるただの道具にしてしまうし、なんなら相手が変わっても同じことを繰り返してしまう…。

 (3)子どもがやりたがっているのならいいんだけれど、「この子のために!」「この子の夢なんです!」と、無理やり自分の夢を押しつけまくっているステージママなども自分の夢と子どもの夢をすり替えている。

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 子どもは本当はどこかで苦痛かもしれない。でも子どもゆえに親の喜ぶ顔を見たくてある時期までは無理してがんばってしまう。ママを喜ばせたい、悲しむ顔は見たくないから、我慢してしまう。しかし、大きくなってから、ママがどれだけ良かれと思っていたとしても…子どもはつらかったという事実があったとしたら…。お互いかなりしんどい。

 (4)度を越えた彼氏の自慢、ブランドの自慢、やたらめったらあれこれ自慢。自慢にはなぜだか人が寄ってくる。「いいなあ」とか、「うらやましい」とか。そんな賞賛で心を満たして、実のところ心はすぐに渇いてしまう。ゆえに自慢が過度になってしまったり、そうしないといけない気持ちにかられてしまったりして、疲れてしまう。

 本当に充実している人は、過度な自慢はしない。良いものを紹介したり、説明してくれたりはしても、圧倒的に穏やか。

 基本、妬(ねた)み、嫉(そね)み、過度な自己肯定や他人否定の中には、自分を保つための噓が隠れています。本人が気が付かない(気が付きたくないから、心が防御している)無意識な噓。

 なんかもう、やんなっちゃうでしょ?

 こんなものに気が付いてしまったら、多少なりとも、いやいや、かなりの人間不信になりましたよ。そして、とどめは自分まで嫌いになってしまう自己否定の闇、病み、が待っておりました…。

「感情がないわけではない、知らないだけ」の、「感情とは?」を探す旅の途中。まだレイの心にまでちゃんとたどり着いていないのに…。

◆ ◆ ◆

 この続きは、『林原めぐみのぜんぶキャラから教わった 今を生き抜く力』(KADOKAWA)に収録されています。※海外では翻訳版(英語・簡体字・繁体字)も発売中。

「感情がないわけではなく、感情を知らない」林原めぐみが綾波レイを演じる過程でたどり着いた“人間の表と裏”

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