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「あの時代の中日の守備は最強だった」名手・赤星憲広が解説する、落合博満監督が8年間で作り上げた“極端な守備隊形”とは

『中堅手論』より #1

2022/07/11
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 阪神タイガースで不動のセンターを務めた赤星憲広氏。「赤い彗星」「レッドスター」の愛称で親しまれた同氏は“盗塁王”のイメージが強い。が、ゴールデングラブ賞を6度も受賞するなど、守備の名手でもあるのだ。

 ここでは、そんな赤星氏が「プロの外野守備」を徹底解説した著書『中堅手論』(ワニブックス)から一部を抜粋。プロ野球選手やチームの“すごい守備”を事例とともに紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く

赤星憲広氏 ©文藝春秋

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イチローさんの真似をしようとは思わなかった

 僕は外野手になったのが比較的遅いし、誰かを目標にして外野手になったわけでもない。僕のプロ入りは01年なので、ゴールデングラブ賞12度・福本豊さん(阪急)やゴールデングラブ賞10度・山本浩二さん(広島)をはじめとする偉大なプレイヤーの守備をこの目で実際に見て参考にしたかった。

 外野手の守備としてのタイプが全然違うので、正直、イチローさん(オリックス→メジャー)の真似をしようとは一度も思わなかった。

 イチローさんは強肩で、捕ってから投げるまで、しっかりモーションを取って投げるタイプ。だから正確だし、球も強いというメリットがある。

 逆に、捕球から送球までフォームが大きく多少遅れるデメリットもある。強肩のイチローさんだからこそ、あの投げ方を選択できるのだろう。

 僕と似たタイプで近づきたいと思っていたのは、飯田哲也さん(ヤクルト→楽天)だ。

 捕手出身の、飯田さんの捕ってから投げるまでのあの早さは、僕の中で理想形だ。投げた球も強かった。