6月24日の公開初日に行ってきました、河瀬直美監督による東京五輪公式記録映画『東京2020オリンピック SIDE:B』。前編の『SIDE:A』はアスリートに、後編の『SIDE:B』は大会関係者や医療従事者などアスリートではない人々にスポットを当てるというコンセプトだった。
南スーダンの選手を描いたシーンが良かった。彼らはコロナ前から群馬県前橋市で合宿していたのだが、開催延期で日本滞在が長引くことに。サポートする地元の人々の姿には心打たれたし、彼らが日本で過ごした1年8か月という時間の長さがわかりました。
数あるゴタゴタの中では、野村萬斎氏の無念さがわかる開閉会式演出降板時の表情と、「俺で当然」と言わんばかりの元電通・佐々木宏氏との対比がよかった(直前の両者のインタビューもフリが効いていた)。
被写体としての森喜朗に夢中
あと私が楽しみにしていたのが、森喜朗氏やバッハIOC会長をどう描くかという点。面白かったのは、被写体としての森喜朗に夢中な感じすら滲み出ていたことです。私は常々「半径10メートル以内の人を味方にする」昭和自民党の象徴が森氏だと言っているのですが、やはりこうなるのだなぁと妙な感心をしてしまった。
6月20日の朝日新聞デジタルに掲載された映画コラムには「そんなに森さんが好きになったのか、河瀬さん。」と書かれていた。映画『シン・ウルトラマン』の「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」というキャッチコピーをもじったのだ。
映画中盤で、森辞任騒動を「日本はムラ社会」とコメントしていたのはIOCの渡辺守成氏。一方で、果敢にムラの中に入った河瀬監督らスタッフが森氏に魅入られていく様子も見ていて面白い。