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 中道寄りの「韓国日報」は「韓日関係の解氷のタイムスケジュールも霧の中」という記事で「しばらく足踏みするだろうと予想される一方で、日本の右傾化色がさらに濃くなり、北東アジア情勢に否定的な影響を及ぼすのではないかという憂慮もある」とした。

「ソウル新聞」は9日の社説で「今回のテロ事件によって、10日に行われる参議院選挙で自民党など与党へ票が殺到することが予想されるなど、少なくない影響を及ぼすことが予想される。さらには参議院選挙後、本格的に進められるはずだった韓日関係改善の努力は一度中断されるのではないかと憂慮される。安倍テロ事件以降、日本の政治と社会の変化から目が離せなくなった」と書いている。

 安倍元首相の銃撃による死亡と11日、日本の参議院選挙での自民党圧勝の結果も受けて、「日本社会の右傾化」と「改憲の行方」についてさらに関心が高まっている。

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©時事通信社

日本の「緩すぎる」警護体制に疑問も

 韓国で要人が銃撃された事件は、1974年に起きた「文世光事件」がある。朴正熙元大統領夫妻が同年8月15日の「光復節(韓国では日本支配から独立を取り戻した記念日という意味からこう呼ばれる)」の祝賀行事に参席した際、北朝鮮から命を受けたとされる犯人が狙撃した。朴元大統領は無事だったが、夫人で、朴槿恵元大統領の母、陸英修夫人が銃弾に当たり亡くなった。

 その後、朴槿恵元大統領が「ハンナラ党(現在の「国民の力」)」代表時代、地方選挙の遊説中に、刃物で切りつけられた事件や、最近では、「共に民主党」の前代表がやはり大統領選挙直前の応援の遊説の途中で支持者から後頭部を殴打される事件があったが、いずれも軽傷だった。

 こんな背景もあり、注目を集めたのは、日本の警護についてだ。いずれも日本メディアの報道を受ける形だが、「なぜ背後が筒抜けの場所を遊説場所として選んだのか……安倍警護ミステリー」(中央日報)、「安倍警護ミステリー‥…後ろの空間は放置し一発目の銃声後の無対応なぜ」(朝鮮日報)と、いちように首を傾げる雰囲気の見出しが並ぶ。

 2015年6月に「日韓国交正常化50周年」を記念し、東京のシェラトン都ホテル東京で行われた駐日韓国大使館主催の祝賀行事に参加した、当時東京特派員だった韓国紙記者は言う。