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「袋を持ちあげた瞬間、包丁が袋を破って飛びだして…」現役ゴミ清掃員のお笑い芸人が語る、“ゴミの捨て方と人間性の関係”とは

『すごいゴミのはなし: ゴミ清掃員、10年間やってみた。』より#2

2022/07/28
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 僕はイメージが逆だった。

 お金持ちの人たちは、金にものをいわせて、バンバン新しい物を買って、ジャンジャン物を捨てているから、大量のゴミを出すと思いこんでいた。

 しかし、実際は逆で、ゴミの量が多いのはふつうの住宅地の人たちだった。

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 僕は「どういうことだろう」と、破けた袋の中をのぞいてみた。ゴミは100円ショップの品々やファストファッションと呼ばれる安い服が多かった。

 僕は「100円ショップが悪い」ということをいっているのではない。

 ただ、とりあえず買っておいて、使わなければ「100円だから別にいいや」といった具合にジャンジャン捨てている。つまり、お金を出してゴミを買っているのではないだろうかと心配になったのだ。余計なお世話かもしれない。安い服しか買えない人だっていることを、忘れてはいけない。世の中にはいろんな事情の人がいる。

 でも、そのときのファストファッションの洋服は、ありゃ、これはほぼ新品じゃないかというような、ワンシーズン程度で捨てられてしまったシャツやアウターばかり。

©iStock.com

 え? こんなきれいなカバン? くつ? こんなに大量に捨てるの? このジョギングシューズ、サイズが合わなかった? ほとんど新品じゃん? もしかしたら、ちょっとお高い、背伸びをした洋服や靴を買うほうが、長い間大切に使うんじゃないのかなぁと思ったりする。

 それを実践しているのが、お金持ちの人なのかもしれない。破けた袋から1枚、着古された婦人服が出てきたのが印象的だった。

 しつこいようだけど、高い物を買えばいいというわけではないよ。100円ショップの品物でも、うまく利用しつづければ、すごく便利だ。ぼくなんかも100円ショップで買ったペンケースは10年使っている。

 つまり買うときに、これは長く大事に使える物かということを考えるのがいちばんだね。そうすると、結果的にお金もたまって、自分にも得になるのかもしれない。僕はいろんな人のゴミを回収していて、自然とそう思えた。