1ページ目から読む
3/4ページ目

ジーパンに穴「ビニール傘で足を突き刺した」

「何発も頭や体……特に頭を木刀や拳で殴られ意識は朦朧としていたそうです。さらに志村容疑者が笑いながらビニール傘でAの足を突き刺したようなんです。後に私がAと合流した時には、Aのジーパンにいくつも穴が開いていて、かなり強く突き刺されたことが見て取れました。

 携帯電話や鍵などの持ち物を没収され、終いには服も脱がされた。そして『これを持て』と薬物のような物体が入ったチャック付きのビニール袋を持たされ、写真を撮られています。

『警察呼んでもてめぇが捕まるだけだからな』と志村が脅してきたので、Aが警察を呼ばないことを改めて伝えると、『こいつぶっ殺して100km離れた山に埋めるから呼びようがねーよ』と3人で笑っていたそうです」

ADVERTISEMENT

 散々暴行を加えているが、とどのつまり容疑者らの目的は金銭だ。「財布を出せ」と言われたAさんは、持っていたはずの財布が手元にないこと伝えると容疑者らは逆上し、木刀を振りかざし暴行を続けた。その後、財布を探すと車の下から発見された。

志村容疑者らが車を泊めていた路上周辺 ©文藝春秋 撮影/上田康太郎

「財布には現金が93000円入っていて、3人で31000円ずつ分けていたそうです。黒色でCOACHの二つ折りの皮財布なんですが、この財布は事件の5日前にAが両親から誕生日プレゼントにもらった物で、Aはとても喜んで大事に使っていたんです。『お金は構わないが財布だけは勘弁してくれ』とAは懇願したようですが、『これはもらうから』と財布も奪われてしまったと。

 財布の中に身分証もキャッシュカードも入っていなかったため、容疑者たちがAを問い詰めました。Aが、職場に普段使っている財布が置いてあり、その中にカード類が入っていることを伝えると、容疑者たちは少し考え、Aに職場まで取りに行かせることにしたそうです」

志村容疑者らが車を泊めていた路上周辺 ©文藝春秋 撮影/上田康太郎

 現金を手に入れた宗形容疑者はもう一台の車に乗り込み去って行った。その後Aさんは服を着せられ、職場の鍵を返してもらった。そのあいだも志村容疑者と渡邊航容疑者から顔や腹部を10発ほど殴られたという。そして、志村容疑者と渡邊航容疑者と共に車で職場まで向かった。

「『5分時間やる。それ以内に帰ってこなければ職場に乗り込んで皆殺しにしてやるからな。警察呼んでも皆殺しだ。逃げんなよ』と脅され、車から解放されたそうです。職場に戻ったAは上司と相談して警察に通報し、容疑者らは逮捕されました」