米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(28)が7月13日のアストロズ戦で1995年の野茂英雄に並ぶ4試合連続2桁奪三振をマークし、9勝目を挙げた。これで104年ぶりのベーブ・ルースの「10勝、10本塁打」に王手をかけたことになる。
打撃でも1972年のノーラン・ライアン以来の先発投手で三塁打を放ち2打点。記録ずくめの大車輪の活躍を演じた試合だったが、この試合に、エンゼルスのもう1人の看板選手トラウトは出場していなかった。前日に背中を痛めたことが理由だが、今季は大谷の登板した試合でスタメンを外れるケースが目立つ。この奇妙な“法則”に両選手の不仲説まで浮上、ついには大谷のトレードにも影響を及ぼすとの指摘まで出る事態となっている(記録は7月14日現在)。
トラウトの不在は守備でもマイナスに働いている
13日の試合では、3―0の4回一死二塁での大谷の投球時、ゴロでの右前打に右翼手のアデルがチャージせず、本塁で刺そうという動きさえ見せなかった。これで大谷の自責点ゼロの記録は31回2/3でストップ。アデルの緩慢な守備には批判が噴出した。エンゼルス担当記者が分析する。
「ライトが(レギュラーの)ウォードだったらあんなことが起きていたでしょうか。あの日はトラウトが外れていたので、代わりにセンターに入っていました。トラウトの不在は守備でもマイナスに働いています」
攻撃面は言うまでもない。トラウトはMVP3度のメジャーを代表する強打の外野手だ。今季も既に24本塁打、51打点を記録している。これほどの得点源を欠けばチームの攻撃力低下は必至で、特に大谷は勝ち星で著しく不利になる。
勝つ気があるのかと疑いたくなる布陣
エンゼルスは6月22日のロイヤルズ戦、大谷の先発登板時にトラウト、ウォルシュを休養させた。連敗中で翌日試合がないにもかかわらず、主力2人を欠く打線を組んだわけだ。
「勝つ気があるのかと疑いたくなる布陣でした。この日も大谷は8回無失点の力投。終盤にネビン監督代行が2度降板を打診しましたが、断固としてマウンドを譲りませんでした。チームとして必死に勝ちにいってないのですから、続投か交代かの判断は自分に任せてもらうというように主張しているように感じられた、大谷の態度は当然です」(同前)
今季トラウトがスタメンから外れたのは12度。うち大谷の登板日(15試合)では6度と、半分を占める。これほど重なるのは偶然だろうか。
「大谷でしか勝てないようなチームが攻撃陣でベストメンバーを組まないのは不自然。トラウト本人の希望かどうかは定かではありませんが、(背景には)ベンチ、球団を含め何らかの意向が働いているとしか思えません。攻守で援護が手薄になる大谷のフラストレーションは推して知るべしでしょう」(同前)