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離婚後も良好な関係でいられるワケ

 離婚したさんまとは近年でもテレビやラジオで共演し、私生活でも誕生日などことあるごとに子供たちも交えて食事する関係である。野田秀樹とも別れたあと、向こうが別の人と結婚してからも、公私にわたって付き合いが続いている。なぜ良好な関係を続けられるのか? あるインタビューで問われた彼女は、《たぶんそれは、才能が好きだったんだと思います。さんまさんも野田さんも、だから今も普通に付き合える。一緒に暮らさなくなっても、その人の才能や尊敬する気持ちは変わりませんから》と答えた(※2)。

 パーティーに大勢の人が集まったことからは、大竹がいかに慕われているかがうかがえる。舞台の稽古場でも、《せっかくこうして出会えたんだから、限られた人生の中で与えられた時間を、一緒に楽しく過ごしましょう》と、みんなと仲良くが基本だという(※3)。ただ、一方で彼女は共演者から恐れられる存在でもある。大竹しのぶに嫌われると台詞を減らされたり役を降ろされるという噂が流れていたこともあったという。本人はあとでそんな噂を聞かされて大笑いしたようだが。

 ほかにも目が合うと石になるという伝説も存在した。ギリシャ神話の怪物メドゥーサじゃないんだから……とツッコミを入れたくなるが、これがあながち冗談でもないらしい。

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若い男優をひるませた、大竹しのぶの言葉

 ある芝居の稽古中、共演相手の若い男優と何度やりとりしても上手くいかなかったため、明日より稽古場から舞台での稽古に移るというタイミングで、演出家に頼んで時間をもらった。そして相手役に「私は全エネルギーを込めて、ひとつひとつの台詞をあなたに渡すから、あなたも全部のエネルギーを返して」と提案すると、すべての台詞を目と目を見つめ合いながら言ってみたという。すると上手くいき、演出家も褒めてくれたが、その男優はなぜか翌日から稽古に出てこなくなってしまった。あとで聞いたところ彼は色々と問題を抱えていたらしいが、大竹は《あの稽古を提案しちゃったせいで精神的にきつくなっちゃったのかもしれない》と慮る(※4)。

舞台『ピアフ』では、世界的シャンソン歌手エディット・ピアフを熱演 ©文藝春秋

 ただ、逃げてしまった彼の気持ちもわからなくもない。役になりきった大竹からずっと見つめられて演技するなんて、後輩俳優であれば誰だってプレッシャーを感じずにはいられないだろう。何しろ昔から「憑依型」の俳優と呼ばれ、自身でも憑依することが楽しいと言ってはばからない人なのだから。

 野田秀樹作・演出の舞台『ザ・ダイバー』に主演したときには、《私は多重人格的な役だったんですが、『源氏物語』の人物になったり、犯罪者のようになったりするんですけど、変わった瞬間が楽しくて楽しくて。憑依した瞬間、自分が普段使わない声や思いがけない声が出たりすると、おもしろいなと思うんですね》と語っていた(※5)。