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なぜ海外メディアからは賞賛ともいえる報道が数多くなされたのか。これは筆者の私見だが、安倍氏のレガシーが圧倒的に外交・安全保障の領域にあったことが最大の理由だと思われる。安倍氏は「自由で開かれたインド太平洋」というヴィジョンを掲げ、一貫してわかりやすくはっきりとした外交・安全保障の方針を打ち出した。海外各紙もこうした実績に最も広く紙面を割いていることが、証左のひとつと言えるかもしれない。
「現職の首相より権力を…」冷静な評価も
一方で、報道の数は少ないものの、安倍政権に対する冷静な評価も印象に残った。たとえば米ボストン・グローブ紙は「安倍晋三 権力者である元首相のレガシーには賛否両論」として、功績も伝えながらも、「安倍氏の保守への傾倒、軍拡傾向については国内の左派、およびアジアで第二次大戦の犠牲者からは快く受け入れられなかった」。米ワシントン・ポスト紙では「辞任後も大きな権力を握り続けた。最大派閥のトップとして、現職の首相より権力を持ち、政策についてのコメントは、度々トップニュースとして報じられた。そして再度、首相に返り咲くのではないかと噂され続けた」と伝えている。
安倍氏の生涯がこのような形で終わりを迎えるとは、誰もが予想しえなかったことだ。議論を呼んでいる「国葬」は9月27日に実施する方向で最終調整が進められているという。