安倍晋三元首相が参院選の遊説中に銃撃を受けて死亡した事件では、世界中に衝撃が走った。秋に営まれるという安倍氏の「国葬」について、7月14日の記者会見で岸田文雄首相から電撃的に発表され、賛否が集まっている。弔意を表す半旗掲揚のタイミングが首相官邸ではアメリカやインド、ブラジルよりも遅れ、保守層からの批判をかわす狙いもあるとみられる。
だが安倍氏の「国葬」に関して、ストレートニュース以外に独自の視点で報じている海外の報道機関はほとんどなく、国内での関心の高まりにとどまっているようだ。今回の事件について、海外メディアは第一報をどのように報じたのか。各メディアの反応を見てみよう。
日本で銃撃事件が起きた衝撃
第一に、事件が起きた奈良県警の鬼塚友章本部長は記者会見で、「警護、警備に問題があったことは否定できない」と述べたが、英米各紙をはじめとする海外メディアは、銃規制が厳しい日本における銃撃事件の衝撃を報じた。
米CNNは、「世界でも最も厳しい銃規制が敷かれる日本では、銃犯罪率も世界最低水準であり、安倍氏の銃撃事件は社会を驚愕させた」と報じた。「昨年、銃による日本の死者数は『1人』。銃関連の事件は10件、うち8件は“ヤクザ”に関連するものだ。2018年の日本の銃による死者数は9人、米国は3万9740人だった。日本で販売が認められているのは散弾銃、空気銃。拳銃の販売は禁止されている」としている。
近年、銃犯罪に注目が集まる米国では、「安全」で「厳しい銃規制」が存在する日本で起こった銃撃事件が特に大きな驚きを持って報じられた。米ワシントン・ポスト紙は「安倍晋三氏の暗殺は日系アメリカ人にショックを与えた」との見出しで、「『日本は世界でも最も安全な国。本当にショックです』(ニューヨーク日系人会会長・佐藤貢司氏)といった反応は全米の日系アメリカ人に共通している」と伝えている。