7月20日、第167回芥川龍之介賞と直木三十五賞(いずれも日本文学振興会主催)の選考会が東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は高瀬隼子さん(34)の「おいしいごはんが食べられますように」(群像1月号)、直木賞は窪美澄さん(56)の「夜に星を放つ」(文藝春秋)がそれぞれ選ばれた。

第167回直木賞の候補作品

受賞者の経歴は…

 高瀬隼子さんは1988年生まれ。立命館大学文学部卒。2019年「犬のかたちをしているもの」で第43回すばる文学賞を受賞しデビュー。芥川賞は2回目のノミネートだった。

高瀬隼子さん ©講談社

 窪美澄さんは、1965年生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年「ミクマリ」で、第8回女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞しデビュー。11年受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で第24回山本周五郎賞を受賞。同作は本屋大賞第2位、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位となる。直木賞は、3回目のノミネートだった。

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窪美澄さん ©中林香

 芥川龍之介賞・直木三十五賞は、菊池寛(明治21年~昭和23年)が昭和10年に制定したもの。芥川賞は雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品、直木賞は新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)のなかから、最も優秀な作品にそれぞれ贈られる。正賞は懐中時計、副賞は100万円。

 芥川賞は、「文藝春秋」9月号(8月10日発売)に受賞作全文と選評が掲載される。また、直木賞は、「オール讀物」9・10月合併号(8月22日発売)に受賞作の一部と選評が掲載される。

 現在の選考委員は、小川洋子・奥泉光・川上弘美・島田雅彦・平野啓一郎・堀江敏幸・松浦寿輝・山田詠美・吉田修一の各氏(芥川龍之介賞)、浅田次郎・伊集院静・角田光代・北方謙三・桐野夏生・髙村薫・林真理子・三浦しをん・宮部みゆきの各氏(直木三十五賞)が務めている。

第167回芥川龍之介賞の候補作品

■第167回芥川龍之介賞 候補作(掲載誌)※作者五十音順・敬称略

小砂川チト「家庭用安心坑夫」(群像6月号)
鈴木涼美「ギフテッド」(文學界6月号)
高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」(群像1月号)
年森瑛「N/A(エヌエー)」(文學界5月号)
山下紘加「あくてえ」(文藝夏季号)

■第167回直木三十五賞 候補作(出版社)※作者五十音順・敬称略

河﨑秋子「絞め殺しの樹」(小学館)
窪美澄「夜に星を放つ」(文藝春秋)
呉勝浩「爆弾」(講談社)
永井紗耶子「女人入眼(にょにんじゅげん)」(中央公論新社)
深緑野分「スタッフロール」(文藝春秋)