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亀井引退でパイプ役不在

 原監督の「全権」には事実上、後継者の指名までもが含まれている。今季は次期監督候補の阿部、桑田、元木の3コーチに、それぞれの専門分野を任せた。3人を競わせることで、チーム強化につなげる青写真は、しかし、ここまでは脆くも崩れている。

「後継者の人事に影響力を持つ監督に、面と向かって意見できるコーチなどいません。チームを強くするため、監督の耳に痛いことを進言すべき時でも躊躇する。イエスマンになってしまうのは仕方ない。チームの勝利にはマイナス以外の何物でもないでしょう」(日本一の経験がある元パ・リーグ監督)

「球団は後継監督の育成を、原監督に丸投げではいけない。次期監督像のビジョンを描き、そう育てるよう原監督に要望すればいいこと」との前出の元球団社長の意見も正論だ。

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原辰徳監督 ©️文藝春秋

 さらに前出の元パの監督は、巨人低迷の一因に、首脳陣と選手の「橋渡し役」不在を挙げる。

「強いチームには監督、コーチの行き届かない思いを、若い選手などに伝える選手がいるものですが、今の巨人には見当たりません。去年まで選手だった亀井がコーチになった影響が出ているかもしれません」

 昨季限りで引退した亀井は05年に巨人入団。原監督の第2、3次政権で名脇役として活躍した。原監督が日本代表監督に就任した09年のWBCのメンバーでもあり、「原野球」を熟知する1人だ。原監督の真意を測りかねたり、横暴に見えたりした采配に遭った若手をフォローしてきた。だが、今季からコーチに就任したことで立場は変わった。

「主将の坂本は今季、ケガで離脱を繰り返し、自分のことで精いっぱい。菅野は監督の甥っ子で、この役割は担えない。年齢的には中島、中田、丸ですが、いずれも外様。岡本では若すぎます。選手間に原さんへの不信感が生まれると、解消しづらくなっています」(冒頭のチーム関係者)

坂本勇人選手 ©文藝春秋
菅野智之選手 ©文藝春秋

 7月22日、自身の誕生日に原監督までもコロナ感染が明らかになった。後半戦へ、逆襲ムードは一向に高まってこない。

「最下位でも球団は解任まで踏み込めないでしょう。原監督が(続投への)意欲を失わない限り、シーズン終了後に形式的に進退伺を出させる程度でしょうか。ただ、何も手を打たないわけにはいきません。原監督の権限を縮小し、渡り合えるGMを呼ぶなどしない限り、来季も巨人に浮上の目はないでしょう」

 と、前出の元球団社長は語る。この言葉は山口オーナーら本社サイドに届くのか。

原監督 ©️文藝春秋