プロ野球セ・リーグの巨人は最大11あった貯金が底を突き、4年ぶりに借金を抱えたまま5位でオールスター戦を折り返した。
他の4球団とともにヤクルトの首位独走を許す体たらく。後継監督候補が決め手を欠く現状で、今オフに原辰徳監督(64)の進退問題が浮上する可能性は低いものの、47年ぶりの最下位に沈むなど不振を極めれば無風で済むのかどうかはわからない。チーム内外には原監督から「全権監督」の剥奪は避けられないとの声が上がっている。
今のうちの不振は中田を取ったことから始まったようなもの
原監督は7月20日に、東京・大手町の読売新聞東京本社に山口寿一オーナーを訪ね、前半戦の報告を行った。2019年、3度目の巨人監督に就任すると、4年間リーグ優勝から遠ざかっていたチームを頂点に導いた。翌20年には2連覇を達成し、昨季は3位ながらも今季から契約を3年延長。会談後には「(戦力の)計算が狂っているという現状も分かった上で、そのぶれは私とオーナーにないことを確認できた」と一枚岩であることを強調した。
その直後のヤクルト戦は敗れ、4カード連続の負け越しで借金は5に膨らんだ。試合後には菅野、中田、岡本ら主力の新型コロナウイルスの集団感染が判明。翌日には同22日からの中日3連戦が中止になった。チーム関係者は冷ややかに言う。
「試合をやらなければ負けることはないから……。今のうちの不振は中田を取ったことから始まったようなもの」
昨年8月下旬、原監督は日本ハムの栗山監督(当時)とのパイプを生かし、暴力問題を起こしたばかりの中田の無償トレードでの獲得に至った。不祥事のみそぎが不十分な中、チームを移ることでリセットを図った手法に、両球団には批判が噴出した。
「原さんは以前、栗山さんに巨人のコーチ就任を要請していて昵懇の仲。中田の扱いに困る日本ハムに手を差し伸べたつもりだったのかもしれないけど、うちの選手には不信感が強まった。なぜけじめがついていない選手を受け入れるのか、と」(同前)
中田加入以降、チームは急失速し、V3を逃すことになった。中田自身のここまでの成績を見ても、いまだプラスのトレードだったとは言い難い。