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「アンチ巨人」はなぜ生まれ、なぜ今消えようとしているのか

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/08/03
note

なんとかこの暗黒時代からは抜け出したい

 このコラムも「絶対に負けたくない」巨人に勝つために書いている。といっても、ヤフーニュースなど配信で読んでいる人には意味がわからないだろう。文春の記者が書いていると思っている人が多そうだが、そうではない。

 文春オンラインの「文春野球コラムペナントレース」なる企画で、ペナントレースと同時並行で、各球団ファンのライターが対抗戦を行っているのだ。この記事も最後まで見てもらうとわかるが、オリジナルの文春のサイトで「HIT」ボタンを押すと1票が入り、その票数の多さで勝負している。私は今年から参加しているが、過去4戦してわずか1勝という情けない戦績だ。

 もちろん負けたのは相手のコラムが優れているからだ。相手は、放送業界の人、新聞業界の人、スポーツ雑誌で書くライター、芸能人……いろいろで、内容も面白い。

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 しかし、それだけじゃないとも思っている。何しろ、阪神チームは文春野球では毎年のように最下位だというのだ。90年代の暗黒期のごとき弱さである。他球団のファンには、このコラムのペナントレースの存在を認知していて、応援している読者層が一定数いるのだが、阪神の場合はそれがほとんどいない。

 なぜなのかと考えてみると、まず他球団と違って阪神は圧倒的に情報量が多い。スポーツ紙サイトのニュースの量なら、12球団でダントツ。阪神ネタの記事など珍しくもなんともないのだ。

 それに、阪神ファンのライターが勝とうが巨人ファンのライターが勝とうが気にしてもらえない。まるでアメリカがWBC優勝にまったく関心を示さないかのごとく。

 私が入ったからにはなんとかしたい!……などと偉そうに言える根拠はなんにもないが、なんとかこの暗黒時代からは抜け出したいと思っている。

「アンチ巨人」はほとんど過去の遺物となった

「アンチ巨人」に話を戻す。どうしてアンチ巨人なるものが生まれたのかは、私の生い立ちで理解してもらえただろう。ただ「なんでも反対」ではなく、それなりの正当性を主張したかった。

 現在、プロ野球の地上波放送はほとんどなくなった。野球という競技、そして巨人というチームの存在感もかつてほどは大きくなくなった。そもそもテレビ自体が、若者たちにとっては重要ではなくなった。

 プロ野球界も、かつてほど「自分さえよければいい」ジャイアン理論に毒されなくなった。それはとてもいいことだ。かくして「アンチ巨人」もほとんど過去の遺物となった。

 最後にひとつだけいいたい。「アンチ(反)○○」はこの世になくていい。若い人たちの言うとおりだ。

 しかし、それが生まれざるをえないくらいの理不尽が背景にある場合もある。自分さえよければいいというビジネスをしたり、情報発信を独占し「洗脳」に近いことをしたりすれば、やむにやまれず「アンチ」になることもある。多数が正義で、少数が変人とは決して限らないのだ。

 ということで、今回こそは巨人に勝たせてください(笑)。

◆ ◆ ◆

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