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テレビタレントおじさんの「下克上感」が気になる

――おぐらさんは、気になったおじさんどうですか。

おぐら 僕はテレビタレントとしてのおじさんについて考えてきました。なかでも今年活躍が目立ったのは、バラエティだとヒロミ、坂上忍、出川哲朗、俳優では遠藤憲一といったあたり。こうして見ると「下克上感」ありませんか? 遠藤憲一さんは、2017年タレントCM起用社数ランキングの男性部門で、嵐の面々をおさえて1位なんですよ。しかも56歳は、1990年の調査開始以来最年長記録。総合でもローラ、広瀬すずに続いて3位。有村架純、綾瀬はるか、上戸彩を超えています。出川さんにいたっては、殿堂入りの「抱かれたくない男」だったのに、今年はついに時代と寝ました。

 

鹿島 うまいこと言いましたね(笑)。

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おぐら 若かりし頃はギラギラしていて近寄りがたく、大衆的な人気とは距離のあった人たちが、おじさんになって丸くなり、穏やかになったことで、ゆるキャラ的な愛され方をしていると思うんですよ。

「かわいい」「愛らしい」枠におじさんが参入

鈴木 梅沢富美男さんも同じ。いま、超テレビに出てるよね。でも私、おじさん側が流行らせようと仕掛けてる気がするな。今、おじさんたちは権力を失い続けていて、自分たちにスポットライトがずっと当たってないことを自覚してるんですよ。一方で、女の人たちが権力を獲得し続けてきたここ10年の間、女の子たちが若干放棄し出している「かわいい」「愛らしい」枠におじさんが参入してるんじゃないかな。

 

おぐら うわ、その視点はなかった! おじさんがおじさんを推している可能性もあるのか! なるほど〜。女性たちが「かわいい」を手放し、権力を獲得。そのぶん、おじさんの権力は失われ、代わりに空いた「かわいい」におじさんが入り込んだ。たしかに、愛されるおじさんたちって実はけっこう自覚的で、「どうやらおじさん同士がイチャイチャするとグッとくる女がいるらしいぞ」ってわかってたりするんですよね。当然まわりはもっと自覚的だから、写真撮影の時に「肩組んでください」「手繋いでください」って要求する。これまでジャニーズとかの男性アイドルたちがしてきたようなポーズを、いまやおじさんたちがやってるもんね。

鈴木 パイは奪い合っていかないと(笑)。

「新しい地図」がおじさんの青春を更新した

おぐら それと、やっぱり「新しい地図」。あの3人も新時代のおじさん像を提示しました。AbemaTVの『72時間ホンネテレビ』は、青春そのものだったじゃないですか。たとえ40歳を過ぎても終わらない青春を、これまではSMAPが更新し続けていたけど、「新しい地図」でもそれが引き継がれた。

鹿島 森君が出てきたりね。でも、そうするとキムタクってどうなんですか? 『an・an』の抱かれたい男ランキング1位を突っ走ってきて、あの3人に比べたら「オレはどうおじさんになっていけばいいのか」という気苦労がありそうですよね。

 

おぐら ぶっちぎりの最下位だった出川さんと、ぶっちぎりの1位だったキムタクと、今どっちが好感度あるのか調査したら、どういう結果が出ますかね。

鈴木 でも、キムタクはどんどんコミカライズしていかないと厳しくないですか? 田村正和みたいに。

おぐら シワや白髪もまた色気、の路線でいうと、奥田瑛二とか玉置浩二だけど。

鈴木 キムタクは、そういう「おじさま」にはなれなさそうですよね。