昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

年末座談会 輝く!2017年おじさん大賞(後編)

プチ鹿島、鈴木涼美、おぐらりゅうじ、大嶋奈都子

「自称リベラルおじさん」のイタさと面倒くささ

おぐら もう一人、カワイイ系おじさんでは立憲民主党の枝野幸男代表も。プーさんとかテディ・ベア系。

鈴木 カピバラに似てるんだよ(笑)。「カピバラ似」は私が新聞記者時代もみんな言ってた。でも当時は知的な民主党のブレーンとして一目置かれてたんですよね。今ではTwitterの人気者だけど。

鹿島 アイドル好きでもあるわけでしょう。政治に関心がない人を油断させて、共感を呼んでいますよね。

 

おぐら 麻生太郎の漫画好きみたいな。

鹿島 そうそう。石破さんの鉄道みたいな。政治家ってスキを与えるアイテムが絶対必要だと思うんですよ。政治に関係なく好感を持たれる部分が不可欠。

おぐら そこが人間味ですから。枝野さんは政治家特有のギラギラ感あまりないですよね?

鹿島 枝野さんは純粋に、自分が正しいと信じている政策を掲げて「国民の生活の安心、立憲主義、民主主義、自由な社会、それをしっかりと守っていく」ために、立憲民主党を立ち上げましたよね。そこで党を大きくしていかないといけないから、自分の考えと近い人たちを集めていったら、変なセクハラをしている議員が2人も出てきちゃった。もうツッコミ待ち状態なんです。そこが憎めないですよね。

おぐら それこそ涼美先生が「日刊SPA!」で「自称リベラルおじさん」のイタさと面倒くささについて書いていたけど。「女性の権利にうるさいリベラルおじさんより、家父長制の権化みたいなコンサバティブおじさんの方が往往にして目の前の女性に優しい」って。

 

鈴木 リベラルおじさんは本当に面倒くさいし、個人の幸福追求をさせてくれないから、周りに置いておきたくないんですよ。私自身政治的にはリベラルだけど、友達にはなれない。

鹿島 そう。リベラルおじさんって、実際に会うよりも主張を文章で読むほうが断然イイ。

鈴木 だけど、デートして楽しそうなのはトランプだし、友達になるなら二階さんのほうがいいな。正しさを追求していないから。二階さん的には、外面と女の前の態度がバラバラでも別に問題ないんですよ。だけど、リベラルおじさんは「オレ、フェミニストだから荷物は持たない」とか言い出す。本当に使えないんですよ(笑)。

おぐら リベラルだろうが性欲はマッチョと同じだけあって、ゆえに目的も同じなのに、お金は出してくれない。

鹿島 でも、それって実はものすごく本質的なところだと思います。だって、安倍さんは選挙をやるたびに経済的にポジティブなことばかり言って「カネで解決」の方向に持っていきますよね。そして選挙が終わると、白黒はっきりつけにくい面倒な課題に手を突っ込むじゃないですか。選挙のときに限って「豊かな生活をみんなで送ろうよ」っていう王道の自民党おじさんに変身しちゃう。

 

鈴木 安倍さんはキャバクラに行っている時と、会社にいる時を使い分ける「日本のいいオヤジ」像をちゃんと体現してますよね。

鹿島 枝野さんは正しさを追求しながらも、カピバラみたいな愛嬌があってまだいいんですけど、ただ単に「頭でっかち」な政治家は息が詰まりますよね。

 

鈴木 そうですね。野党・リベラルな人たちが、若者に対してまったく求心力がないのは、人付き合いの下手さが原因のひとつだと思います。鹿島さんに聞きたいんですけど、枝野さんとは別の道を行った前原(誠司)さんはどうですか?

鹿島 政治家って、政策も大事ですけど政局あってこそですよね。僕、枝野さんと前原さんの民進党代表選共同記者会見(8月21日)をラジオ番組の中継で見に行ったんですよ。前原さんって、ただの「第二自民党」的なイメージがあったんですけど、きちんと社会保障政策を掲げていて、「ああ、弱者に対してこういうことを言う人なんだ」って思ったんです。だけど、実際に何が起きたかというと、この政策を安倍さんにパクられたあげく、前原さんは政策を捨てて希望の党と同じようなことを言い出したわけでしょう。「前原おじさん、ブレブレじゃん」って。

おぐら 野党の求心力が低下するのも納得ですよね。リベラルおじさんは忖度しないですし。基本的に正論しか言わないから、えこひいきもしない。

貴乃花は「相撲界のリベラルおじさん」

鹿島 ちょっと唐突ですけど、リベラルつながりでいうと貴乃花って「相撲界のリベラルおじさん」だと思うんですよ。相撲協会の超異端児。貴乃花は、正しいんだけど度が過ぎる人だから、リベラルおじさんと方向性が似ているんです。だけど、そういう人に後進が付いていくかっていったら……。

おぐら 弟子としては、えこひいきしてほしい(笑)。

鹿島 貴乃花は天才すぎるんですよ。王貞治さんが「なんで俺みたいにホームラン打てないの?」って言い始めたら、周りは困っちゃうという話です。「なんで稽古しないんだ。稽古しまくったら勝てるよ」と言われても、普通の力士には分からない。