4月20日、熊本県八代市の私立秀岳館高校でサッカー部コーチによる暴行事件が発覚した問題。熊本県は7月29日、秀岳館側が提出した報告書の概要を公表し、サッカー部での新たな暴力行為は確認されなかったが、全校で新たに53件もの暴力行為が判明したことを明かした。監督の段原一詞氏(50)は既に自主退職しているが、新たに関係者15名を減給や戒告などの懲戒処分にしたという。
強豪校で一体何が起きていたのか。事件を報じた「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:週刊文春 2022年5月19日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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サッカー部コーチによる暴行事件が発覚した、熊本県八代市の私立秀岳館高校。同校を運営する学校法人八商学園の理事長も務める中川靜也校長(91)が、「週刊文春」の取材に応じ、監督を事実上、“更迭”していることを明かした。
200名以上の部員を擁する強豪、秀岳館高校サッカー部の事件が発覚したのは4月20日。30代のコーチが3年生の男子部員を殴り、蹴る動画がSNSで拡散されたのだ。だが2日後、部員の“顔出し謝罪動画”がアップされ、暴行を受けた部員らが「部内の暴力は日常茶飯事」という報道を否定。20年以上、部を率いる段原一詞監督はテレビで「謝罪動画は部員が自発的に撮り、関与していない」と釈明したが……。
「後に流出した部内会議の音声では『被害者は俺』と発言。謝罪動画も監督の指示のもと撮影されたことが判明したのです」(地元記者)
5月5日、学校側の会見で、段原監督は「暴力行為を見たことがない」とした上で、自らの進退については明らかにしなかった。だが中川校長はこう明かす。
「実は、内部的にはもう監督は替わっています。保護者からも『あの監督のもとではやれない』との声が相次ぎ、十数年やっているコーチに監督代行を頼んだ。段原はサッカー部から外します。ウソをつき、世間を騒がせたし、自己擁護が目立ちすぎる。本来は自分から身を引くのが筋です」