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抗がん剤治療の現実

 さて、ステージ4の大腸がんである私は、上記「国立がん研究センター」の「がん情報サービス」の説明に基づけば「治癒が困難な状況」ということになる。

 そして、その「がん情報サービス」では、それら治癒困難なステージ4の固形がんに対する標準治療は、基本的に抗がん剤治療であるということ。それら多くの固形がん(肺がん、大腸がん、胃がんなど)に対する抗がん剤治療の目的は、延命や症状の改善であると言っている。

 つまり、分かりやすく言えば、ステージ4の固形がんに対する標準治療、即ち、抗がん剤治療では「がんを治すことは難しい」と言っているのである。

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 抗がん剤が一時的に効果を発揮して、がんが消失したり、縮小したとしても、一定期間後には、その薬剤に耐性を持つがん細胞が出現し、がんは再び増大して、病状は悪化するからだ。そこで、新たな抗がん剤が提案されるが、これもまた同じ経過を辿ることになる。

 それでは、それらステージ4の固形がんに使用される抗がん剤の実力は、どの程度のものなのだろうか?

 千葉県が作成している「千葉県がん情報 ちばがんなび」に、一般の人向けの「がんQ&A」というコーナーがある。

 そこにあったQ(質問)、「がんはどんなものでも、それに効く薬というのがあるのですか」に対するA(回答)は、「ご質問に対する答えは残念ながら『いいえ』です。がんを抗がん剤で治療する場合の“効く”という表現は他の病気の場合とは少し異なっています。“効く”という表現は通常は“治る”ということを意味して使いますが、がんでは違っています。抗がん剤の効果を表現するときに、著効(がんが消失する効果)を示したとか有効(がんが半分以下に縮小する効果)であった、といいます。

 そして、抗がん剤の有効性を表現する場合に奏効率という言葉を用いますが、これは著効率と有効率を加えたものです。がんによって異なりますが、この奏効率が20%前後でその抗がん剤は有効な薬剤(効く薬剤)とされています。残念ですが、これが多くのがんに対する抗がん剤の現状です。しかし、抗がん剤で治らないがんでも、早期発見により手術や放射線療法で治る場合が多いことを付け加えておきます」となっている。

 がんの種類によっては、ノーベル賞を受賞した本庶佑先生の「免疫チェックポイント阻害薬」オプジーボなどが使用される場合もあるが、オプジーボの奏効率は、がんの種類によって差異はあるにしても、従来の抗がん剤と同等といわれており、他の抗がん剤同様いずれ効果がなくなることは分かっている。