帰ってきた”息子のリュック” 「生きる望みを捨てていなかった」
そして事故から1週間後、男性の元に行方不明の息子のリュックが届いた。
行方不明者の家族:
息子の一番気に入っていたリュックですね
海保が捜索中に、知床岬の海上で発見したという。中には、眼鏡や衣類などが残されていた。
行方不明者の家族:
(眼鏡は)海に飛び込むときに、母親が失くしたら困ると思ってリュックにしまってくれたと思うんです。最後まで生きるつもりだと、生きる望みを捨ててなかったんだなと。これは息子が旅行に行く少し前にあげたキーホルダーで、「これに鍵とかつけてね」と渡しました。海水でさびになってしまいましたけど…。まさか、こういう形で戻ってくるとは…
電車や外遊びが大好きだった7歳の息子。将来は外国に住んでみたいと話していた。
行方不明者の家族:
(息子は)すごく優しくて活発でしたね。やっぱり最後、船が傾いて沈んでいく中で、冷たい海に飛び込まなければいけない状況になって、どんなに怖かっただろうと。もう会えないのかなと思うと…。胸が張り裂けそうです。本当に苦しいですね
発生3カ月…高波受けたか?船内に"窓ガラスの破片"
引き揚げられた船体は現在、網走港に陸揚げされ、事故原因の調査が進められている。
海上保安庁の関係者によると、船内にガラスの破片が散らばっていたことから、想定を超える高波が直撃して、窓ガラスが割れて浸水した可能性があるとみられている。
また船底を仕切る壁に穴が開けられていたことがわかっていて、機関室に水が進入し、エンジンが停止した可能性もあると見られている。
閑散とした観光地…知床に残る"事故の衝撃"
観光シーズンを前に発生した悲惨な事故は、知床に暗い影を落とした。
田中 うた乃 記者:
7月17日は知床が世界自然遺産に登録された日で、多くの観光客でにぎわう時期ですが、今年は人が少ないように見えます
2005年に世界自然遺産に登録され、毎年、多くの観光客が訪れていた知床。
しかし、観光協会によると観光客は3割から4割減少し、6月に運航を再開した小型観光船では予約のキャンセルが相次いだ。