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 やがてストリップクラブの店員のバイトをしていると、速攻でストリッパーがブラピに惚れて、知り合いの芸能関係者を紹介してくれた。かくして業界に潜り込んだブラピは、1987年から脇役をこなしながらブレイクの時を待つ。『処刑教室―最終章―』(1989年)などのB級映画で主演を張りつつ、TVドラマでも活躍。ハンサム力も衰えることを知らず、1990年には共演したジュリエット・ルイスと交際を始める。

 ジュリエットも相当な顔面力を持つ人物だが、そんな彼女から見てもブラピのハンサム力は突出していた。曰く「ブラッドは特別よ。彼の寝顔を見ていると、ギリシャの神さまじゃないかと思うことがあるわ」。寝ているだけで神様扱いされる男であるから、セクシーな役を演じさせたら注目を集めるのは当然であった。

 20代も後半に差しかかると、ブラピのハンサム力は一つの頂点を迎えた。セクシーすぎるヒッチハイカーを演じた『テルマ&ルイーズ』(1991年)や、トムクルさんと共演した耽美系吸血鬼映画の金字塔『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994年)など、セクシーな役柄を演じて話題を集める。そして1995年にはアメリカの雑誌ピープルが選ぶ「最もセクシーな男」の1位をゲット。自他共に認める世界で最もセクシーな男になったのであった。

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世界一のワイルドでセクシーな男になった30代

 かくしてセクシー現人神の座についたブラピは、第一次世界大戦に翻弄される人々を描いた大作ドラマ『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』(1994年)でゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネート。

 ただのハンサムではなく、役者としての評価も高めていく。この頃には来日も果たしており、ブイブイ言わせていたブラピはインタビューの場にもシャツのボタンをヘソまで開けて現れ(ボタンの意味があるのか?)、冒頭に引用したワイルドな発言を残した。ワイルドでセクシーな風貌通りの私生活を送っていたのだろう。

 そんなノリに乗っているブラピは運命の1本に出会う。

 サイコサスペンスの金字塔『セブン』(1995年)だ。七つの大罪に見立てた猟奇殺人が起きて、ブラピ扮する若き刑事が犯人を追いかけるが……『セブン』は徹底して非情かつ陰鬱な作品だ。監督のデヴィッド・フィンチャー自身も本作について「やってきた観客たちはちょうど処刑のために集められた小羊のようなもの」と語っている。この意地悪にもほどがある映画は世界的に大ヒットし、サイコサスペンスの新たな基準になった。