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「顧客目線ではデメリットもきちんと伝えてくれる正直営業がありがたいですが、そうなると営業成績が落ちてしまい、会社員としての立場はまずくなる。不動産業界は離職率が高く、ノルマとの厳しい戦いがあると聞きますし、理想論では回っていかないという現実があるようです。『かぼちゃの馬車事件』など、信じられないような不動産トラブルを目の当たりにするなかで、正直営業を貫く永瀬という男がヒーローになりえる時代なのではないかとも感じましたね」(同前)
「不動産の知識ゼロ」という危うさ
本作では、悪徳不動産オーナーの手練手管、ペアローン(共同名義)やマンション管理費の落とし穴など、私たちが買い主や借り主の立場で直面しうる問題が数多く取り上げられている。読めば即、実生活に役立つ知識を得られること請け合いだ。
「不動産業者とわれわれの情報格差は、いわばプロ野球選手と小学生の野球選手の対決みたいなものです。相手は歴戦の猛者であり、数千万~数億円規模の不動産取引を日常的に行っている。一方、われわれは家を売買するなんて人生に数回あるかないか。勝てっこない試合に、知識ゼロで臨むことほど怖いことはありません。物語を楽しみながら、不動産知識を効率よく吸収できるのが『正直不動産』の魅力の一つなのかなと思います」(同前)