今年もいろいろありましたテレビの世界。そこで生粋のテレビっ子4人に、2017年テレビの顔、事件、トレンドを総ざらいしていただきました。まずはバラエティ編!

左からてれびのスキマさん、エスムラルダさん、スーパー・ササダンゴ・マシンさん、岡室美奈子さん

『めちゃイケ』『みなおか』終了のインパクト

てれびのスキマ(以下スキマ) 2017年のテレビバラエティの大事件といえば、まずは『めちゃイケ』『みなさんのおかげでした』の終了決定です。フジテレビの「楽しくなければテレビじゃない」というイズムでやっていた最後の2番組が、ここにきてついに終わってしまう。時代を感じざるをえません。岡室さんは大学でテレビドラマを教えているほどテレビっ子なんですよね?

ADVERTISEMENT

スーパー・ササダンゴ・マシン(以下ササダン) えっ、そうなんすか?

岡室 ええ、そうなんですよ。私は早稲田大学でテレビドラマの授業を持ってもいて、テレビを観るのは仕事でもあり、趣味でもありまして。

エスムラルダ(以下エスム) 私、ドラマの脚本も書いているので、どんな話が聞けるか気分がアガります!

岡室 ドラマの話は後ほどたっぷりしたいのですが、このフジテレビのバラエティ2番組の終了は非常に寂しいですよね。特に『めちゃイケ』は最近また勢いが出てきたと思っていたので。岡村(隆史)さんが三浦大知さんとダンスでコラボする「ダンシングヒーローでゴイゴイスーペシャル」は、選考委員を務めている放送批評懇談会のギャラクシー賞の月間賞も受賞したばかりだったので、余計に残念。

プロレスラーのスーパー・ササダンゴ・マシンさん(左)、早大教授の岡室美奈子さん(右)

ササダン えっ! 岡室さん、ギャラクシー賞の選考委員なんすか!

スキマ ササダンさんは『めちゃイケ』に出演もされていましたよね。

ササダン 「色とり忍者」ってコーナーに徳川綱引役として出てました。あの番組は、エンターテインメントとしての作り込み方がプロレスに似ているんですよ。だから、ディレクター含め作り手が成長する場だと感じていたんですが、そういう意味でも終了は残念です。

フジテレビの「Viva, diversity!」と「保毛尾田保毛男問題」

エスム フジの長寿バラエティは『笑っていいとも!』が2014年に終了、『スマスマ』が2016年に終了。続きますね。2番組はどういうふうに終わるんでしょう。

ササダン 『みなさんのおかげでした』はドライに笑い飛ばして、『めちゃイケ』は泣ける方向にとか? こうなってくると「終わらせ方対決」みたいな楽しみ方もできるかもしれません。

岡室 なるほど、それは面白いかもしれない。

エスム 『みなさんのおかげでした』に関しては「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)問題」もありましたよね。同性愛をネタにしていると炎上騒動に発展しましたが、私はまず「ああ、時代は変わったんだな」と思いました。『みなさんのおかげです』が始まった約30年前には、こういう議論すら起こらなかったので。私も子どもの頃は保毛尾田保毛男ネタ、少し「嫌だな」と思っていたんですが、フジテレビ的な「悪ノリ」も嫌いではないので、複雑な気持ちです(笑)。

女装家、脚本家のエスムラルダさん

岡室 フジテレビは「レインボープライド2017」でお台場の社屋をレインボーカラーにライトアップして、「Viva, diversity!(多様性バンザイ!)」を打ち出していただけに残念です。

エスム ちなみに、私がよくお世話になっている『有吉ジャポン』でも、ゲイネタとかニューハーフのお店のネタとか結構多いんですけど、回を重ねるうちに制作スタッフの方から「この話はあんまりしたくないですよね?」とか、話せる部分と話せない部分について先回りして気遣ってくださることが多くなってきました。

スキマ バラエティ番組の世界でも、そういう動きが出てきているんですね。