海辺の潮風に山の静寂。自然のなかにしかない経験は、ことさら強く記憶に残る。キャンピングカー購入と維持のハードルを乗り越え、自然との暮らしを手にしたオーナーたちの本音に迫る。(全2回の1回目/後編を読む)

自慢の愛車の運転席で笑顔を浮かべる「さおりんご」さん

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船釣りの「前乗り」のためキャンピングカー購入

 子どもの頃から、よくお父さんにバス釣りに連れて行ってもらっていたんです。それからも自分で釣りに行くことはあったのですが、そこまで本格的に通っているわけではありませんでした。

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 でも3年くらい前に、はじめて船釣りにチャレンジしてからドハマりしちゃって。船に乗っているときの開放感も、釣った魚を食べられるところもいいんですよね。今では毎週末どこかしらの海に出かけています。

キャンピングカー外観。車体上部は睡眠スペースとして利用している

 ただ、船釣りだと朝がすごく早いんですよ。朝になって家から向かう形だと、あまり眠れないし、道も結構混んでいて……なので、金曜日の仕事後に前乗りできるよう、2年前くらいに買ったのがこの車です。もともとこの状態で組まれている展示車だったので、300万円くらいかな、相場より少し安めに買えました。

 買うのには勇気がいりましたけど、結果的にとても満足しています。港の駐車場で車中泊をしていると、同じ船に乗る人から「いいなぁ」なんて声を掛けられたりもしますね。やっぱり、ぐっすり眠れるので疲れ方が違います。

 この車を買う前は、最初にホンダのライフを友達から譲ってもらって、その次がフィアットのチンクエチェントっていう小さい車でした。そっちはローンで買ったんですけど、結局乗る機会が少なくて、割と早く売っちゃいましたね。

外観からは想像できないほど、ゆったり過ごせそうな車内

 それからしばらく家の車を使わせてもらっていて、いきなりキャンピングカーを買ったので、家族は「えっ、どうしたの」とビックリしていましたね。お父さんは「どうせすぐ売るだろう」と思っていたようで、去年の暮れに会ったとき「まだ乗っていたのか」と意外そうにしていたのを覚えています。

 車は他に持っていないので、コンビニ行くのもスーパー行くのもこの車です。軽キャンパーだと小回りがきいて、日常でも使いやすいのがいいですね。ただ、平日はOLをしていて電車通勤なので、ほとんど週末がメインになっています。

ベース車はダイハツ・ハイゼットトラック

 それでも、休みの度に釣りやキャンプに出かけているので、走行距離はもう2万5000キロくらいになりました。北茨城の方にお気に入りの港があって。家からの近さで言えば東京湾なんですが、茨城の方まで行けば魚が大きくて、船もあまり混んでないんですよ。

 これまで行ったなかで一番遠かったのは佐渡ですね。新潟まで4時間、そこからフェリーで2時間くらい。佐渡に着いてからもかなり広くて……でも、車を停められる無料のキャンプ場もあって、のどかで自然も豊かだし、すごくいいところでしたよ。