良くも悪くも元AV女優という肩書きはずっと付いてくる
神野 人に対する興味がなくなりましたね。どんな人も私をAV女優の渡辺まおとして接してきたので、一回壁を作ってしまうようになりました。特に男性に関してはそうでした。飲み会に誘ってくるのも「AV女優をやっているからなのかな」って思ったり、何を言われても「私がAV女優をやっていたから」かなって思ってしまって。人をむやみに信用しなくなったので、騙されづらいとか、詐欺に遭いづらいとか、良いこともあるんですけどね。
あとは普通の人生を失いました。というか、「普通の人生を失った」と思われ続けながら生きていく人生になったと思います。それはデビューした時から覚悟してましたけど、良くも悪くも元AV女優という肩書きはずっと付いてくるので。
だからと言って結婚や出産、家庭を持つことを諦めたわけではないです。結婚願望もありますし、将来は子どもも欲しいと思っています。私のバックグラウンドも含めて全てを受け入れてくれる人がいるのであれば、そういう人生も歩んでみたいと思っています。結局自分自身で選択して生きていくので、どう生きるかは自分次第なのかなって思いますね。
――世間の思うAV業界と、中から見たAV業界にギャップはありましたか。
神野 私自身も最初は構えていたんですけど、思っていたほど怖い世界じゃないと思いました。AV新法の時もTwitterでいろんな意見が飛び交っていましたが、業界としてはかなりクリーンになってきていると思います。
昔みたいに無理やり出演させられるってことも減っていると思いますし。ただ、どれだけ業界がクリーンになっても、やっぱり「セックスを撮って売っている」わけで、それをよく思わない人はたくさんいますし、もちろんAV業界の中にもまだまだ問題点はたくさんあるので。そういう偏見がなくなることはないのかなと思いますし、偏見があることはある意味健全だと思います。
――健全というのは?