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性被害を訴えても「そんな仕事してるからしょうがない」と

神野 AV女優になる道が緩やかではいけないと思っていて。AVで救われた人もいるけど、逆に救われなかった人もいて。もちろん業界自体はどんどん良くなってはいますけど、リスクが大きい仕事でもあるので。

 AVを始めた時は、「AV女優の偏見をなくしたい」と思っていましたけど、AV女優として働けば働くほど、不用意にはやってほしくないと思いますし、手放しに「おすすめだよ」とは言えなくなりました。

 それはAV業界が良くないという意味ではなくて、AV女優の意思決定権があまりにも個人に委ねられているからです。

――個人として事務所と渡り合ったり、現場で判断しなければならないということでしょうか。先ほどの、なかなか事務所に相談ができなかった、というお話につながりそうです。

神野 そうかもしれませんね。自由で良いといえばそれまでなんですが、まだ社会に出たこともなかったり、世の中のことをよく知らない子が安易に出てしまうのは、リスクが大きすぎると思います。だからこそ、一定の偏見は必要だと思うんです。

 

――働いている中で大変だったことはありますか。

神野 私は全ての仕事を双方の同意の元に行なっていたので、嫌な仕事を無理矢理させられるってことはなかったんですけど、例えば企画の中で「ビンタをします」と言われていた時に、どのくらいの痛さなのかってお互いに想定しているものが違うことがあるんです。

 思っていたよりもそのビンタが痛かったり、5分くらいだと思っていた行為が15分も続いていたり。でも、同意して現場に来ているので、何も言えなくて。難しいなと思いました。

 さらにいえば、AVの仕事は同意の元にやっているからいいんですけど、例えばAVの世界の外だと、「AV女優なら何してもいい、何を言ってもいい」と思っている人や「AV女優だから常時性欲が湧いている」「誰とでもセックスするだろう」という勘違いをしている方も多いです。

 私自身もそう見られることが多すぎて、笑って受け流すなど諦めていた部分がありました。だけど、私が黙って見過ごすことで同じような目に合う子が増えてしまうと思い、はっきりと自分の意思表示をするようになりました。

 でも、AV女優やセックスワーカーが性被害を訴えても「そんな仕事してるからしょうがない」と丸め込まれて泣き寝入りすることもあります。セックスワーカーの人権は下に見られているなと感じましたね。

――セックスワーカーの性被害の声は届きづらいと。

神野 仕事でパワハラを受けている人に「そんな会社に入ったのが悪いんだろ」とは言わないですよね。セックスワーカーも仕事としてやっているわけなので、嫌なことは嫌だと、性被害についてもきちんと取り扱って欲しいなと思いますね。

写真=石川啓次/文藝春秋

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